ZEH住宅はシロアリに弱い?気密性・断熱性が裏目に出る落とし穴と対策

2025年5月26日
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高い省エネ性能を実現し、環境に優しいZEH住宅が近年注目されていますが、気密性や断熱性が高いがゆえにシロアリ被害を招きやすいリスクがあるのをご存知でしょうか?ZEH住宅では従来の薬剤処理による防蟻対策では限界があり、物理的なバリアを導入することが効果的です。
本記事では、ZEH住宅でシロアリ被害が問題になりやすい理由や、ZEH設計とシロアリ対策を両立するための対策を解説します。

なぜZEH住宅でシロアリが問題になるのか

ZEH住宅

ZEH(ゼッチ)住宅とは、再生可能エネルギーの導入や断熱性能の向上、高効率の設備の利用などによって、年間のエネルギー収支ゼロ以下を目指す住宅のことです。
環境問題への関心が高まるなかで注目されていますが、シロアリ対策という面で課題があります。

高気密・高断熱の構造が生む床下の湿気と温度

高気密とシロアリ

ZEH住宅では、省エネ性と快適性を両立させるために高い断熱性と気密性を実現しています。
こうした特徴により冷暖房の効率が高まる半面、建物内部、特に床下に湿気や熱がこもりやすくなるという副作用も生じます。

通常の住宅では、床下にある程度の通気性があることで地面から上がる湿気を逃がし、構造材の乾燥状態を保つ構造になっています。しかし、ZEH住宅では断熱材や気密シートによって外気との出入りが制限されるため、床下の湿度が排出されにくくなるのです。
さらに、断熱によって外気温の影響を受けにくくなった床下空間は、年間を通じてシロアリが活動しやすい温度帯(15〜30℃)に保たれやすくなります。

シロアリは湿気と適度な温度を好むため、このような空間はシロアリにとって理想的な棲み家です。特に床下換気が不十分な場合、被害が顕在化しやすくなります。

基礎断熱による外周部のリスク

断熱材とシロアリ

ZEH住宅では床下の熱損失を抑えるため、主に基礎断熱工法が採用されています。基礎断熱を採用した住宅では、断熱材が外周に接する構造を持つことが一般的です。

このような構造では、断熱材と土壌の接点がシロアリの侵入経路となる可能性があります。シロアリはわずかな隙間やひび割れを利用して土壌から建物へ侵入しますが、断熱材と基礎の間のすき間や、断熱材の裏側などが「隠れた侵入経路」として機能するのです。

実際に、基礎断熱の隙間や外周部から侵入され、断熱材そのものが食害を受けた事例も報告されています。一部のシロアリは断熱材自体をかじって巣の材料にしたり、トンネルを作ったりするため、特に柔らかい発泡スチロール系の断熱材を使用しているとシロアリの被害が拡大しやすくなります。

ZEH設計とシロアリ対策は両立できるのか

シロアリの被害を受けやすいとはいえ、省エネ性能の高いZEH設計が魅力的であることには変わりありません。
では、ZEH設計の利点を保ちつつシロアリ被害を防ぐことはできるのでしょうか?

防蟻処理における「薬剤依存」の限界

薬剤の効果減衰

現在多くの住宅で採用されている薬剤による防蟻処理は、即効性が高く、施工も比較的容易ですが、効果が永続するわけではありません。防蟻薬剤は年数が経つにつれて揮発、分解、雨水による洗い流しなどによって徐々に効果を失っていきます。特に土壌に施すタイプでは、5年以上経過すると効果が大きく減退するとされています。

ZEH住宅は、省エネルギーだけでなく「長寿命化」を前提に設計されるため、短期的な薬剤効果に頼った防蟻対策では不十分です。そのため、薬剤に頼らない持続性の高い処理方法が求められるようになっています。

気密性能と防蟻工法をどう両立させるか

気密性と防蟻の両立

ZEH住宅は、エネルギー効率の観点から高い気密性が求められます。一方で、シロアリ対策としては建物に物理的な隙間やバリアを設けたり、通気を確保したりする必要があるため、気密と防蟻はしばしば相反する要素となります。

これらを両立するためには、開口部や通気層の設計段階から十分に配慮・検討することが不可欠です。
例えば、構造材の接合部や貫通部において、気密テープやパッキンによる処理で空気の漏れを防ぎつつ、防蟻シール材や金属板で物理的な侵入を防止する方法や、通気口に防虫網や金属メッシュを併用し、シロアリが通れない構造にする方法などがあります。

施工後に対応するのではなく、設計初期段階から「気密」と「防蟻」の両立を意識することが重要です。

ZEH住宅でのシロアリ対策に物理的バリアが有効な理由

ZEH住宅では、薬剤処理ではなく物理的なバリアによるシロアリ対策が有効です。

非薬剤・持続性・環境配慮がZEHと相性が良い

ZEH住宅は環境性能が重視される住宅であるため、薬剤を使わず環境負荷が低い防蟻資材との相性が良い特徴があります。特に、シート状の物理的バリアによってシロアリを遮断する方式は、持続性に優れており、建物の気密性も損ないません。
また、前述のようにZEH住宅は長寿命住宅であるため、防蟻効果が長期間持続する物理的バリアの特徴を最大限に活かすことができます。
物理的バリアの代表的な製品としては、ターミダンシートがあります。

シロアリ対策ならターミダンシートがおすすめ

ターミダンシートは、土壌表面施設用のシロアリ防除アイテムであり、防蟻対策に最適なシートです。
忌避性・即効性・残効性の性質を持つビフェントリン(ピレスロイド系)を使用しているため、薬剤を使用することなくシートを敷くだけでシロアリ・湿気をシャットアウトできます。
従来の薬剤を使用した防蟻処理とは異なり半永久的に効果が持続するため、シロアリが再度侵入するリスクを大幅に軽減できるほか、薬剤の再処理が不要なため維持管理コストも抑えられ、長期的に安定した住環境を提供します。

ターミダンシートの詳細についてはこちらのページをご覧ください。