工場火災が起きたらどうする?
初動対応や被害を最小限に抑える対策を解説

2024年10月8日
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工場は民家に比べ規模が大きく、危険物や爆発物を取り扱っていることも多いため、火災が発生した場合には大きな被害が生じる可能性があります。被害規模が大きくなると、周辺の住民や取引先にも深刻な影響を与えかねません。そのため、火災発生時に迅速かつ的確な対応をとり、被害を最小化することが非常に重要です。
本記事では、工場火災が発生した際の初動対応や早期復旧するためのポイント、被害を最小限に抑えるための事前対策を解説します。

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工場火災が起きた際の初動対応

地震や台風などの自然災害とは異なり、火災は人的要因で発生するケースが多いため、事前の対策をしっかりと行うことである程度予防することが可能です。もちろん、地震に起因する火災や放火、近隣施設からの延焼など、不可抗力で火災が発生することはありますが、その際には初期消火や迅速な避難などの初動対応が非常に重要となります。
以下では、工場で火災が起きた際の初動対応について解説します。

初期消火と通報

火災発生時にまずやるべきことは、初期消火と通報です。火災を発見したら、小火(ぼや)であってもすぐに消防に通報します。並行して、火災が小規模であれば消防が到着するまでに消火器や消火栓設備を使って初期消火を行います。
小火だからといって消防に通報せずに自分たちだけで消化しようとすると、消火に失敗して延焼し、大きな被害につながってしまう可能性があるため、火災発見後の初期消火と通報は同時に行うことが必須です。他の従業員に通報を依頼して、自身は消火活動に当たるといったように、その場で明確な役割分担をしましょう。
なお、初期消火が可能な時間は火災発生から2~3分程度とされています。

周囲への周知

通報や初期消火だけでなく、火災の発生を工場にいる従業員全員に周知することも不可欠です。延焼の可能性があるため、周辺の企業や住民にも知らせる必要があります。
非常ベルを鳴らしたり大声で知らせたりすることはもちろん、スムーズに伝達できるよう、「消防への通報係」や「周辺企業・住民への通報係」など、事業所内で事前に役割分担を決めておくことが重要です。

初期消火の中止・避難

火が天井や壁に延焼したり、煙が充満し始めたりすると初期消火がほぼ困難になります。このような状態になってしまった場合には、無理に消火しようとせず、速やかに避難して消防の到着を待ちます。
避難の際には、煙や有毒ガスを吸わないよう、できるだけ姿勢を低くしてハンカチやタオルなどで口と鼻を覆います。一般に、火災発生後3分を経過すると初期消火は困難になり、火の勢いが強まり煙も充満するため、少しでも早く避難できる体制をとることが非常に重要です。また、周辺の住民や企業にも避難を呼びかける必要があります。

鎮火後に消防の検分を必ず受ける

鎮火した後は、小火であっても消防による検分を必ず受けます。火災の規模が小さく自分たちで鎮火できたと思っても、見えない場所で火がくすぶっている可能性があるためです。建物の安全性や原因究明のためにも、検分は必須です。また安全確保のため、消防の許可が出るまでは火災現場に立ち入らないようにします。

これらの初動対応を迅速に行うことで、従業員や周辺住民・企業の安全を確保できます。

出典:中小企業BCP策定運用方針

火災発生以降の早期復旧を実現するためのポイント

火災が発生してしまった場合には、被害を最小化するとともに早期に復旧することが大切です。
以下では、火災からの早期復旧を実現するためのポイントを解説します。

被害状況の確認・取引先への連絡

火災の鎮火が完了し、安全を確認できた後には、すぐに被害状況の詳細を確認します。具体的に確認すべきものとしては、建物や設備、在庫、重要書類などがあります。あわせて、従業員の安否確認と出勤可能な人員の把握も不可欠です。

被害状況の確認が完了した後は、取引先や関係各所に復旧の目途について連絡します。納期や契約への影響についても報告しましょう。
連絡が遅れたために信頼を失い、事業を再開した頃には大事な顧客を失っていた…という事態にならないように、取引先には滞りなく連絡をしておくことが大切です。

参考までに、文面で被害状況を報告する際の例文を以下に記載します。

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株式会社○○ △△様

このたびの火災につきまして、ご心配をおかけし誠に申し訳ございません。

弊社の現在の状況をお知らせいたします。幸い人的被害はありませんでしたが、工場の一部設備に損傷があり、生産ラインの一部が停止しております。

現在、復旧作業を進めており、○月○日頃には通常操業に戻れる見込みです。ご発注いただいている商品の納期につきましては、約1週間の遅延が予想されます。

詳細な納期につきましては、復旧状況を見ながら改めてご連絡させていただきます。ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
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復旧計画の立案

少しでも早く、かつ確実に復旧するための計画・施策を立案し、あわせて取引先や従業員に説明を行います。
復旧計画に盛り込むべき主な内容としては以下のものが挙げられます。

・復旧の優先順位の設定
事業継続に必要不可欠な機能から優先的に復旧させます。顧客対応、生産設備、IT系統など、重要度に応じて順位付けを行います。

・具体的な復旧スケジュールの作成
各部門の責任者と協議し、具体的・段階的な復旧スケジュールを立案します。

・必要なリソースの確保
復旧に必要な人員、資材、資金を見積もり、確保します。必要に応じて、臨時の人員採用や外部業者への委託も検討します。

・代替手段の検討
完全復旧までの間、代替生産拠点や一時的なオフィススペースの確保、外注など、事業継続のための代替手段を検討します。

・進捗管理と柔軟な対応
復旧計画の進捗を定期的に確認し、必要に応じて計画を修正します。予期せぬ問題が発生した場合に備え、柔軟に対応できる体制を整えます。

火災を想定してやっておくべき事前対策

万が一火災が発生した際の被害を最小化するためには、以下のような事前の対策をしっかりと行うことが大切です。

BCP対策

BCP(事業継続計画)とは、災害や事故などの緊急事態発生時に事業継続や早期復旧を実現するための計画のことです。
BCPの一環として、工場の重要なデータや資材を保護するためのバックアップ体制の整備や、防火対策を行うと効果的でしょう。例えば、サーバーや製造機械を耐火設備で保護したり、クラウド上にデータを保存したりすることなどが考えられます。
また、火災後の復旧の手順や、外部の関係機関(消防、保険会社など)との連携体制を明確にしておくことも重要です。

火災発生に備えた体制づくり・マニュアル作成

火災発生時に迅速かつ的確な対応をとれるように、従業員の役割分担を事前に決めておくことが重要です。
避難誘導の責任者、消火器やスプリンクラーの操作担当者、緊急連絡網の管理者など、各担当者を明確に定めておくことで、万が一の事態が発生した際に混乱を抑えることができます。
定期的に担当者の確認や交代を行い、工場の設備や事業内容など最新の状況に合わせた体制を維持することが求められます。

さらに、これらの対応をスムーズに行うためには、マニュアルを作成することが不可欠です。
マニュアルには、火災発生時の具体的な手順や担当者の役割、連絡先、緊急連絡網などを詳細に記載し、従業員全員がすぐに確認できるようにしておきます。マニュアルの内容を定期的に見直し、最新の情報を反映させることで、実際の火災発生時に役立たせることができます。

避難訓練の徹底

避難訓練は定期的に実施し、全員が避難経路や非常口を常に把握できている状態にする必要があります。
訓練の際には実際の火災を想定したシナリオを設定し、従業員が緊急時の手順を体験することが重要です。特に、新入社員の入社時や業務内容に変更があった場合には、個別に指導を行うことで全体の対応力向上につながります。緊急時には、1人でも誤った行動をとってしまうと全体の避難に影響が出るため、職場環境に慣れていない従業員をフォローして対応力を底上げすることが不可欠です。
同時に、いざというときに備え、防災用品や消火器、スプリンクラーの定期点検も必ず行っておきましょう。

避難経路の確認

火災時に迅速な避難できるよう、避難経路は常に確認しておく必要があります。
避難ルートは視覚的にわかりやすく明示され、障害物がない状態を維持することが重要です。蓄光テープや非常灯など、停電時でも避難がしやすいような設備を整備することも忘れてはいけません。
避難経路を確認するだけでなく、避難訓練と連動させ、実際にそのルートで迅速かつ確実に避難できるかを定期的に確認することも必要です。

工場の停電対策は高輝度蓄光テープ エルクライト™がおすすめ

火災発生時には、初期消火や消防への通報を行うとともに、迅速に避難することが非常に大切です。そのためには、停電した場合にも避難経路を視認できるようにしておく必要があります。

工場の避難経路の視認性を高めるには、日東エルマテリアルの高輝度蓄光テープ エルクライト™がおすすめです。
エルクライト™は、蛍光灯や太陽光などの光を蓄えて、暗闇で発光することで目印となる防災用途に開発されたテープです。白色LEDの光も吸収するため、工場で火災が発生した際も、高い輝度で現場環境の視認性を高めることに役立ちます。

JIS規格(JIS Z9107)で定められた輝度を大幅に上回り、高い耐候性、耐摩耗性、耐薬品性等を有する、耐久性にすぐれた製品です。

エルクライト™にご興味のある方は下記よりお問い合わせください。

お役立ち資料

【ユースケース付き】防災対策としての蓄光テープの課題と選定ポイントについて解説
災害時に身の安全を守りつつ速やかな避難を実現するためには、視界の確保が重要であり、停電時の対策の一つとして、蓄えた光を暗闇で放出する蓄光テープがあります。蓄光テープは、電力を消費しない視界確保が可能であり、発光時間は数十分のものから数時間、あるいは10時間以上のものまで製品によってさまざまです。 そこで本資料では、蓄光テープ導入時に知っておきたい課題や選定のポイントについてご紹介いたします。 ユースケースを交えて解説しておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。 【こんな方におすすめ】 ・蓄光テープの導入を検討している ・蓄光テープの具体的な活用シーンや例を知りたい ・蓄光テープを導入する際に気を付けておくべきポイントを知りたい
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カタログ資料

高輝度蓄光テープ エルクライト™ JB.JC.JD 製品カタログ
「エルクライト™」は蛍光灯や太陽光などの光を蓄えて、暗闇で発光する事で目印となる防災用途に開発された高輝度蓄光テープです。 従来の蓄光テープと比較し、JIS規格基準の大幅な発光輝度を誇ります。
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