蓄光塗料とは?蓄光テープとの違いや蓄光の仕組み、選定ポイントを解説

2024年6月1日
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「蓄光塗料」と「蓄光テープ」は、どちらも明るい場所で溜めた光を暗闇で放つ「蓄光」の仕組みを利用した製品です。それぞれ停電時や災害時の避難の目印などに活用できますが、どのような基準で選べば良いかわからない方もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、蓄光塗料と蓄光テープそれぞれのメリット・デメリットや、選び方のポイントをご紹介します。

蓄光塗料とは?蓄光テープとの違いや蓄光の仕組み、選定ポイントを解説 蓄光塗料とは?蓄光テープとの違いや蓄光の仕組み、選定ポイントを解説

蓄光とは?

暗所で光を放つ現象の一つに「蓄光」があります。まずは蓄光とはどのような現象で、どういった仕組みで光を発するのかについて見ていきます。

蓄光とは

蓄光の仕組み

蓄光とは、蛍光灯や太陽光などが放つ光エネルギーを蓄え、周囲が暗くなったときに光る現象のことです。自ら光を発するのではなく、外部からの光エネルギーの供給が必要ではありますが、人体へ悪影響のない蓄光材料を使用している点が特徴です。

蓄光で発する光は強力ではないものの、一定時間発行が持続するため、停電発生時など、暗闇で避難する際の目印などに活用されています。

蓄光の仕組み

基底状態と励起状態の関係

蓄光材料には、光エネルギーを蓄える性質を持つ硫化亜鉛(ZnS 系)やアルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4 系)などが使用されます。これらの蓄光材料が太陽光や蛍光灯の光エネルギーを吸収し、暗闇になると光エネルギーが放出されることで発光するのが蓄光の仕組みです。

光エネルギーを受ける際、蓄光材料に含まれる電子が紫外線領域の波長エネルギーに反応し、電子エネルギーが過剰な状態(励起状態)になります。励起状態ではエネルギーのバランスが安定しないので、過剰なエネルギーを放出して元の状態(基底状態)に戻ろうとします。そこで放出されるエネルギーが可視光となるため、発光していることを認識できます。

蓄光塗料と蓄光テープの違い

蓄光の仕組みを利用したものとしては「蓄光塗料」と「蓄光テープ」があります。以下ではそれぞれの概要やメリット・デメリットをご紹介します。

蓄光塗料とは

蓄光塗料

蓄光塗料とは、蓄光顔料を含んだ塗料のことです。蓄光顔料の種類と粒子サイズによって、発光強度が変わります。一般的に粒子サイズの大きいものの方が発光強度は高く、粒子サイズの小さいものが弱くなります。

蓄光テープとは

蓄光テープ

蓄光テープは、蓄光顔料を含む粘着テープのことです。こちらも暗所で発光するため、暗闇の中の視界確保に役立ちます。
発光時間は使われている蓄光顔料によって異なり、数十分のものから10時間以上発光するものまであります。

「蓄光塗料」と「蓄光テープ」の使用用途とメリット・デメリット

メリットデメリット

蓄光顔料と蓄光テープには、それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。

蓄光塗料

メリット:
①テープが貼りにくい凹凸のある場所にも対応することが可能
②蓄光顔料の変更で色彩調整が可能

デメリット:
①塗布者の技術力がないとムラがでる
②十分な発光量を得るためには重ね塗りが必要
③塗り間違えた際の塗り直しが大変
④乾燥時間が必要

蓄光テープ

メリット:
①誰でも簡単に貼ることが可能
②輝度ランクが既に決まっているため、求める明るさで使用可能
③寿命が長い
④貼ってすぐに効果が出る(乾燥させる時間が不要)

デメリット:
①貼れる場所が限られる(凹凸のある場所などには貼りにくい)
②必要な輝度ランクに合わせて最適なものを購入する必要がある

蓄光塗料と蓄光テープ選定のポイントは?

蓄光塗料と蓄光テープには前述のようなメリット・デメリットがありますが、実際に購入する際にはどのような視点で選べば良いのでしょうか。以下ではそれぞれの選定ポイントをご紹介します。

蓄光塗料の選定のポイント

1.塗布面と素材の適合性

蓄光塗料を選定する際には、塗布する面の素材に適合するものを選ぶことが重要です。金属、プラスチック、木材などのさまざまな素材に適した塗料を選択する必要があります。

 

2.耐久性と安定性

蓄光塗料は場所によっては人が行き来することによる摩耗や雨水(屋外の場合)、熱などの外的要因にさらされます。屋外、屋内問わず、劣化の要因が存在する環境での使用に耐える耐候性があり、長期間効果を維持できる製品を選ぶことが重要です。

 

3.色と輝度ランク

色によって輝度ランクが変化するため注意が必要です。また、重ね塗りをするとコストアップになるため輝度ランクの高い製品を選ぶことも重要です。

蓄光テープの選定のポイント

4.耐久性と柔軟性

蓄光テープの場合、曲面や異なる素材にも貼り付けられる柔軟性が求められますまた、耐久性があり、長期間効果を維持できるテープを選ぶことが重要です。

5.粘着性

粘着性が弱いとすぐに剥がれて使用できなくなり、買い替えの手間やコストが多くかかります。さまざまなタイプの表面や条件においても十分な粘着力を持っているか確認することが重要です。

6.幅や長さ

使用する場所や目的に応じて、適切なテープの幅や長さを選択する必要があります。

7.色や輝度ランクのバリエーション

蓄光テープも蓄光塗料と同様に、さまざまな色や輝度ランクがあり、特定の用途に合った色や輝度ランク(JD/JC/JB/JA/規格外)を選ぶ必要があります。

蓄光塗料は塗布面への適用に適しており、蓄光テープは貼り付けや表面への装飾に適しています。どちらも用途や特性に応じて適切な製品を選択し、安全性や環境への影響を考慮することが重要です。

停電や火災発生時の避難経路の確保や暗所での事故防止に効果的!高輝度蓄光テープ エルクライト™ シリーズ

停電や災害対策において蓄光塗料と蓄光テープのどちらが良いかは、使用したい場所の状況や用途によって異なります。
蓄光テープは取り外し可能であるため、必要な場所に簡単に貼り付けることができ、必要に応じて移動させることが可能です。そのため、素早く使用でき、非常口や避難経路のマーキングなど、緊急時に早急に視認できる目印として利用できます。

日東エルマテリアルでは、高輝度蓄光テープ エルクライト™ シリーズを展開しています。
「突然の停電に備え、電気に頼らない防災対策をしたい」、「暗所での事故を防止したい」 などのニーズに対応しており、製造業、倉庫業、運輸業の企業様に多くご利用いただいております。

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