工場通路幅はどのくらい確保すべき?
安全な通路幅や視認性を高める方法も紹介
工場においては従業員が安全に移動できるよう、一定の幅や視認性があり、安全性を確保した通路を設ける必要があります。しかし、具体的にどのくらいの幅を持たせればいいのか、また視認性をどのように高めればいいのかお悩みの方もいるのではないでしょうか?
本記事では、工場における安全な通路幅や視認性向上の重要性、避難通路を確保するために必要な対応などをご紹介します。
工場通路幅はどのくらい確保すべきか
工場で作業をする際には、生産性や業務効率の向上に目が向きがちですが、まずは作業員が安全に業務を行える環境を整えることが大前提です。
以下では、その際に重要となる工場の安全通路の概要や規則について解説します。
工場の安全通路とは
工場の安全通路とは、作業場に設置すべき安全が確保された通路のことです。
労働安全衛生規則により設置が義務付けられており、常に使用できる状態にしておく必要があります。また、主要な通路には通路であることを示す表示をしなければなりません。
【労働安全規則 第540条】
事業者は、作業場に通ずる場所及び作業場内には、労働者が使用するための安全な通路を設け、かつ、これを常時有効に保持しなければならない。
前項の通路で主要なものには、これを保持するため、通路であることを示す表示をしなければならない。
必要な通路の幅とは
労働安全規則によって、用途に応じて適切な通路の幅を設けることが必須です。
具体的には、機械の間、または他の設備の間に80cm以上の間隔を空けることが定められています
ただし、80cm以上であっても、安全性が担保されない場合にはそれ以上の幅を設定しなければなりません。そのため、規則に則るだけではなく、安全性をきちんと確かめた上で必要な幅を設けることが求められます。
【労働安全規則 第543条】
事業者は、機械間又はこれと他の設備との間に設ける通路については、幅八十センチメートル以上のものとしなければならない。
必要な通路の高さとは
工場通路の天井までの高さに関しては、特段の決まりはありません。
しかし、通路の高さがあまりに低いと移動の際に邪魔になることから、「工場通路面の高さ1.8m以内に障害物を置いてはいけない」という規則は定められています。
万が一、建物の構造の関係で通路上に障害物を乗せざるを得ない場合は、地面に置くのではなく、高さ1.8m以上の場所に置かれている必要があります。
【労働安全規則 第542条】
通路面から高さ一・八メートル以内に障害物を置かないこと。
床面の安全性も重要
通路の幅・高さに加え、床面の安全性についても定められています。
スムーズかつ安全に移動できるよう、つまづき、すべり、踏み抜き等などの危険がない状態を維持することが求められます。
【労働安全規則 第544条】
事業者は、作業場の床面については、つまづき、すべり等の危険のないものとし、かつ、これを安全な状態に保持しなければならない。
通路の視認性向上の重要性
工場の通路が薄暗いと、移動の際に障害物にぶつかったりつまづいたりする危険性があるため、安全に移動できるよう視認性を高めることも重要です。
照明の設置や採光を行う
通路の視認性を高めるために、照明の設置や採光を行う必要性についても定められており、通路での移動の邪魔にならない程度に照明を設置し、安全に通行できる状態にすることが求められます。
また、採光によって視認性を担保している場合は、夕方になると視認性が下がる可能性があります。夕日が差し込む西側以外の窓から採光している場合には、特に注意が必要です。そのような場合、蓄光テープのような視認性を高めるアイテムを活用し、日差しが弱まる時間帯でも通路の視認性を担保する方法が考えられます。
なお、照明の具体的な照度については定めがないため、照明の設置や採光の有無を確認するだけでなく、安全に通行できるだけの視認性が確保されているかどうかを確認することが重要です。
【労働安全規則 第541条】
事業者は、通路には、正常の通行を妨げない程度に、採光又は照明の方法を講じなければならない。ただし、坑道、常時通行の用に供しない地下室等で通行する労働者に、適当な照明具を所持させるときは、この限りでない。
通路を色で区切る
照明の設置や採光だけでは視認性を高めることができない場合、テープを床面に貼り、通路を色で区切ることによって、通路と作業場の境界線を明確にする方法もあります。
床面の色に合わせて目立ちやすい色を使うことで視認性を高めることができます。
区画表示を行う際は、区画表示専用のテープの活用がおすすめです。
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また、通常の区画表示テープに加えて蓄光タイプのテープも貼っておくことで、停電が起きた際も視認性を担保できます。この方法は災害対策としても効果的です。
避難通路を確保する上で必要な対応とは
工場では、災害や停電発生時のような非常時に避難するための通路も備えておくことが必要です。
避難に必要な通路幅とは
消防法では、「避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理」という記載がありますが、具体的にどの程度の通路幅を確保すべきかについては示されていません。
とはいえ、廊下や階段などにおいて避難の妨げとなるような障害物が置かれることのないよう、しっかりと維持管理することは義務づけられています。
【消防法 第8条】
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない。
出入口や避難経路の確保
レイアウト変更時には、避難通路をどのように確保するかについても念頭に置いておかなければなりません。
避難経路や出入口に関しても、労働安全衛生規則によって確保することが定められているため、レイアウト変更により出入口が塞がれるといったことがないよう、それらを遵守した上でレイアウトを変更することが重要です。
・避難階(直接地上に通ずる出入口のある階)には、容易に地上の安全な場所に避難することができる2つ以上の出入口を設けなければならない。
・出入口に設ける戸は、引戸または外開戸でなければならない。
・避難階以外の階については、その階から避難階または地上に通ずる2つ以上の直通階段またはスロープ(傾斜路)を設けなければならない(うち1つは、すべり台、避難用はしご、避難用タラップ等でも可)。
・地上に通ずる直通階段またはスロープのうち1つは、屋外に設けられたものでなければならない。
通路幅変更時は視認性向上も合わせて行うことが重要
レイアウト変更にあわせて通路の様態も変わる場合、従来と異なる導線になるため、照明が当たりにくくなったり採光が十分でなくなったりする可能性が生じます。それにより視認性が低くなると、事故が発生しやすくなるおそれがあります。レイアウト変更直後のように、新しい動線に慣れていない場合には特に注意しなければなりません。
こうしたことから、道路幅変更時には視認性の向上もあわせて行うことが重要です。
また、近年は地震をはじめ自然災害が多発しており、工場内で停電が発生するリスクが高まっています。大規模な災害に起因する停電は影響範囲が広く、復旧まで時間がかかることも珍しくないため、停電時の事故防止や、避難時の安全確保の重要性がこれまで以上に増しています。このように停電対策という観点からも、視認性確保は非常に重要な課題です。
工場通路の視認性向上には日東エルマテリアルの高輝度蓄光テープ エルクライト™がおすすめ
工場通路の視認性向上には、日東エルマテリアルの高輝度蓄光テープ エルクライト™がおすすめです。
エルクライト™は、蛍光灯や太陽光などの光を蓄えて、暗闇で発光する事で目印となる防災用途に開発されたテープです。白色LEDの光も吸収するため、工場で停電が発生した際も、高い輝度で現場環境の視認性を高めることに役立ちます。
また、階段や障害物の周りに高輝度蓄光テープを貼ることにより、真っ暗な状態でも危険な箇所がわかりやすくなり、安全に行動することができるようになります。
JIS規格(JIS Z9107)で定められた輝度を大幅に上回り、高い耐候性、耐摩耗性、耐薬品性等を有する、耐久性にすぐれた製品です。
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