災害時に「ポータブル電源」は必要?メリットや注意点、選ぶポイントについて解説

2024年2月22日
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災害時に非常用電源として役立つ「ポータブル電源」。スマートフォンの充電だけでなく、さまざまな電化製品に使用できるなど多くのメリットがありますが、どのような点に注意して選べば良いのでしょうか。本記事では、災害時にポータブル電源が役立つ場面や注意点、選び方や新しい活用方法などを解説します。

災害時に「ポータブル電源」は必要?メリットや注意点、選ぶポイントについて解説 災害時に「ポータブル電源」は必要?メリットや注意点、選ぶポイントについて解説

ポータブル電源とは

ポータブル電源とは、手軽に持ち運びができるコンパクトな設計の充電器(バッテリー)のことです。充電器としての役割を持つアイテムとしてはモバイルバッテリーが有名ですが、モバイルバッテリーよりも大容量であり、出力端子・出力が異なります。出力端子としては、スマートフォンでよく使われるUSBポートのほか、一般的な電化製品についているコンセントに接続できるAC出力、さらに自動車内での電源としてよく使われているシガーソケットがついているものもあります。

こうした特徴から、モバイルバッテリーでは動かせない機器にも接続して動かすことができ、防災用品やアウトドア用品として広く活用されています。
なお、ポータブル電源は基本的には自宅のコンセントで充電可能です。

発電機・蓄電池との違い

ポータブル電源と似た製品に発電機や蓄電池があります。ポータブル電源と発電機は、バッテリーを充電して稼働するのか、電機燃料(ガソリン)で稼働するのかという点で違いがあります。

発電機

■発電機
発電機は、電機燃料(ガソリン)を使ってエンジンを稼働させ、装置内のコイルや磁石を回転させることで電気を得る装置です。ポータブル電源とは異なり、燃料さえあればバッテリー切れを起こす心配がなく、充電不要で長時間発電を続けることができます。ただし、発電する際に騒音や排気ガスが発生してしまうため、室内や人が密集している場所での使用には向きません。

ポータブル電源

■ポータブル電源
それに対して、ポータブル電源はコンセントをつないで充電し、十分な容量を確保できればすぐに稼働できます。最低限のメンテナンスで済み、屋内でも問題なく使用でき、さらに繰り返し充電して使えるなどのメリットがあります。

蓄電池

■蓄電池
蓄電池は、電気を蓄える機械のことです。ポータブル電源と蓄電池は、コンセントがないエリアで電力を供給できるという点は同じですが、供給できる電力や電流の量が異なります。また、蓄電池は据え置き型のものが多く持ち運びは困難ですが、ポータブル電源は持ち運びを想定して設計されており、スマートフォンはもちろんエアコンや冷蔵庫、ヒーターなど消費電力が大きな電化製品にも使用できる点が特徴です。

 

 

どんなときに使えるのか

ポータブル電源は、後述するように災害による停電の発生時に大活躍するほか、キャンプに行った際に扇風機やヒーター、照明等の電源として活用できるなど、アウトドアの場面でもよく利用されています。

災害発生時やアウトドアでは車中泊をすることがありますが、そうした場合に車内の電源として活用することも可能です。また、園芸やDIYをするときに屋外で電化製品を使うために利用されることもあります。

災害時におけるポータブル電源の役立つシーン

ポータブル電源は、主に停電時など電気が使えないシーンでの防災用品としての活躍が期待されます。以下では、災害時におけるポータブル電源の役立つシーンを4つご紹介します。

スマートフォンやラジオを使いたいとき

スマートフォンの充電

災害発生時に欠かせないのが情報収集や連絡手段の確保であり、避難生活を余儀なくされた場合には気分転換の手段を持つことも重要となります。そのため、スマートフォンやラジオの重要性が平常時以上に高まりますが、電源がなければすぐに充電切れを起こしてしまいます。

災害時には停電が発生しやすくなるので、いかに電源を確保するかが重要です。東日本大震災では、停電の80%が解消されるのにおよそ3日かかったとされており、少なくとも数日から1週間以上はスマートフォン・ラジオを利用できるだけのバッテリーを持っておく必要があります。しかし、一般的なモバイルバッテリーではスマートフォンを数日しようしただけで充電切れを起こしてしまうため、バッテリー容量の大きいポータブル電源を用意しておくのがおすすめです。

照明を使いたいとき

ランプ照明

停電発生時には明かりの確保も非常に重要であり、懐中電灯や電池式のランタン等が重宝されますが、すぐに電池切れを起こしてしまう恐れがあります。

ポータブル電源があれば充電式の照明器具や懐中電灯などを長時間使用でき、車に接続すればガソリンを消費することなくヘッドライトを点けることもできます。
明かりを確保することで夜間でも活動でき、家具にぶつかったりつまずいたりすることによるケガのリスクを低減し、精神的にも安心できるなどさまざまなメリットがあります。なお、ポータブル電源そのものに照明機能が付いている製品もあります。

冷暖房器具を使って温度管理をしたいとき

扇風機

停電により冷暖房器具が使えないと、厚さや寒さで体調を崩しやすくなり、最悪の場合命の危険にさらされることもあります。特に、真夏や真冬は最大限の注意が必要です。
ポータブル電源を使用することで、扇風機や電気毛布、ヒーター、さらに容量の大きい製品ならエアコンも動かすことができ、暑さや寒さから身を守ることができます。

食材を安全に確保したいとき

冷蔵庫

大規模な災害の発生時には、スーパーやコンビニ等が被害を受け営業できなくなったり、物流がストップしたり、さらには買い占めが発生したりすることで十分な食料を確保できなくなる可能性があります。その場合、食料の供給が再開するまでは自宅にある食料で飢えをしのぐことになりますが、ポータブル電源があれば冷蔵庫・冷凍庫を動かして食料を保存しやすくなります。また、IH調理器やホットプレートを使って調理したり、電子レンジや炊飯器、ケトルなどを使って温かい食事をとったりすることもできます。

乾パンやインスタント食品などの非常食は栄養が偏りがちで、冷たいものがほとんどですが、ポータブル電源を使って電化製品を動かすことで、食事のバリエーションを増やすことができ、栄養バランスの偏りも解消できる可能性が高まります。

ポータブル電源の注意点

このようにポータブル電源にはさまざまな防災上のメリットがありますが、一方で注意点もあります。

あらかじめ充電しておく必要がある

ポータブル電源は、モバイルバッテリーと同じく使用前にあらかじめ充電しておく必要があります。家庭のコンセントに挿して充電することが一般的ですが、車のシガーソケットやソーラーパネルにより充電できるモデルもあります。

必要になったときに充電が切れていて使えないと意味がないため、災害の備えとしてポータブル電源を用意しておくのであれば、常に十分に充電されているか気を配る必要があります。

消費電力を考えて計画的に利用する必要がある

製品によってバッテリーの容量が決まっているため、充電がなくならないように計画的に使用する必要があります。
例えば2~3日のキャンプで使用する場合、バッテリー容量は500Whが目安とされており、ヘアドライヤーや電子レンジ、エアコンなど消費電力が大きいものも使いたい場合には、1,000~2,000Whの大容量のバッテリーが必要です。
災害発生時に最低限の電源を確保する目的であれば、バッテリー容量2,000~3,000Whの製品を用意するのがおすすめです。

また、ポータブル電源は溜めた電力を使い切ると充電が必要になるため、停電時には充電できなくなってしまいます。
そうした事態に対応できるよう、ソーラーパネル発電とセットで販売されているポータブル電源も登場しており、日中であればソーラーパネルでの太陽光発電により短時間で充電できます。


主な家電製品の種類と消費電力は以下の通りです。

大容量の場合は持ち運びに向かない

大型ポータブル電源と小型ポータブル電源

一般的に、バッテリー容量が大きくなるほど、ポータブル電源は大型になります。あまりに大型の製品は持ち運びがしにくく、使い勝手が悪くなる可能性があるため注意が必要です。
そのため、持ち運びを想定する場合には扱いやすいサイズを選ぶ必要があります。

ポータブル電源の選び方

災害時や停電時に重宝するポータブル電源ですが、どのように選べば良いのでしょうか。選び方のポイントを以下で解説します。

安全性の基準を満たしているか確認する

ポータブル電源の異常発熱や過充電が原因で出火した事故が報告されているため、ポータブル電源を選ぶうえでまず重要になるのが安全性の確認です。

ポータブル電源発火中

事故を防ぐためには、リチウムイオンバッテリーの異常発熱を防ぐ制御装置が付いている製品を選ぶことがおすすめです。制御装置にはいくつか種類があり、代表的なものとしては「BMS(バッテリーマネジメントシステム)」や「NCM制御装置」が挙げられます。
電化製品の安全性を満たしていることを示す「PSEマーク」がついている製品であればさらに安心です。

バッテリー容量を確認する

バッテリー容量の大きい製品であれば、それだけ長い時間家電製品を動かすことができます。容量の大きさと動かすことのできる時間の関係は、ポータブル電源のバッテリー容量の単位である「Wh(ワットアワー)」と、電化製品の消費電力「W(ワット)」によって決まります。

 

■容量(Wh:ワットアワー)

ポータブル電源の容量は「Wh(1hの消費電力)」で表します。

1h(1時間)の消費電力。

例)消費電力100wの液晶テレビを2h使用

 100w×2h=200Wh

消費電力100Wの液晶テレビであれば、目安として24型モデル2h/15型モデル15h 見る事ができます。

 

■出力(W:ワット)

「消費電力」とは電化製品を動かすのに必要な電力です。

電化製品にはシール等で「○○W」と表示がされています。

機種ごとに定められた「定格出力」以下であれば使用できます。

例)「電子レンジ」「IH調理器」のように高出力の電化製品の多くは1000w以下の機種には使用できません。

本体サイズ・重量を確認する

前述のように、ポータブル電源は大容量の製品になるほど大型になり、重量も重くなるため持ち運びしにくくなるという弱点があります。災害発生時に自宅を離れなければならない場合などに、ポータブル電源の持ち運びに苦労するとせっかくの非常電源を有効活用できません。一方で持ち運びやすい比較的小型の製品であれば、避難所等に持ち込んで使用できます。また、自宅内で必要に応じて移動しやすいメリットもあります。

しかし、大型で重量のあるポータブル電源は、出力が高く多機能の製品も多いため、小型で持ち運びしやすいものの方が優れているとも限りません。アウトドアメインで利用するのか防災用として利用するのか、また非常時に使用する場合はどの電化製品を優先的に動かしたいかなどをあらかじめ想定しておき、用途や活用シーンに応じて最適な大きさ・重量の製品を選ぶことが大切です。

ソーラーパネルなど互換性・給電方法を確認する

ソーラーパネル付きポータブル電源

ポータブル電源を選ぶ際に、ソーラーパネルなどのシステムとの互換性や給電方法についても確認しておく必要があります。
例えば、ソーラーパネル発電と組み合わされた製品なら、充電が切れたとしても日中にソーラーパネルで発電でき、電力を溜め込んでおくこともできるため、停電に見舞われても長期間電力を使用できます。
また、ポータブル電源の電力を直接住宅に供給できれば、それぞれの電化製品に個別に繋ぐ必要がなくなるため効率的に給電でき、同時に複数の電化製品を使えます。

ポータブル電源をより活用するためには

前述の様にポータブル電源はACコンセントに接続可能な家電を使用することができます。しかし家の照明をそのまま使いたいとなると接続の方法がありません。

(太陽光も停電時にはコンセントしか使えません。関連記事:太陽光をそのまま停電時に使用できると考えている方が多いというお話)

暗闇の中、冷蔵庫等のコンセント差し替えも大変ですよね。

照明が点かない場所で、ポータブル電源をコンセントとしてしか使えない様子。

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リフォーム提案のヒント!住宅設備としての停電対策
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