工場で行うべき停電対策とは?
電源の確保方法から電源に頼らない対策も紹介
DX化が進展する昨今、災害が発生した際の工場の停電対策は今まで以上に重要になっています。停電対策としては非常用電源を導入することだけでなく、電気自動車や非常用ライト、蓄光テープなどを活用するといった電源に頼らない対策を行うことも重要です。
本記事では、工場での停電対策として、電源確保の方法や電源に頼らない対策をご紹介します。
工場の停電対策が重要な理由
近年は異常気象や地震が頻発しており、停電リスクが増加しています。また、工場のDX化の進展により停電発生時の影響が大きくなっていることからも、工場の停電対策を行うことは非常に重要です。
特に、地震や台風などの自然災害による停電は、工場の生産活動を長期間停止させる可能性があります。さらにDX化された工場では、電力供給が途絶されることで工場全体の生産活動に深刻な影響を及ぼすため、対策を行わないと大きな損害を被ることになります。
災害が増えているため
日本はもともと世界有数の自然災害大国ですが、近年は台風の大型化や豪雨被害の増加、地震活動の活発化など、自然災害の脅威がさらに増しています。特に地震や台風、豪雨による停電は、工場の生産活動に大きな影響を与えます。
地震による停電で電力供給が途絶え、工場の稼働が長期間停止するケースや、浸水や土砂崩れ、台風に伴う強風などによって送電網が破壊され、復旧に時間を要するケースも増えています。大規模な災害の場合、送電網や発電施設の被害が大きくなりやすいため、停電対策を十分に行っておくことが不可欠です。
このように災害の被害が深刻化する状況での停電対策は、もはや一時的・短期的に対処すべき課題ではなく、日常的に発生し得る大きなリスクとして捉える必要があります。
DX化に伴う停電時の影響拡大
工場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることにより、工場全体の生産効率や品質管理の水準が飛躍的に向上しますが、同時に停電時のリスクも増大します。
DX化が進んだ工場では、機械や設備、さらには生産管理システムなどあらゆる生産工程がデジタル化、データ化され、電力供給に大きく依存するようになります。これにより、停電が発生すると、一部の設備やシステムの停止にとどまらず、工場全体の生産活動が一瞬で停止してしまう可能性があります。
例えば、IoT機器がリアルタイムでデータを収集し、そのデータを基に生産ラインが最適化されている場合、停電の発生により電力が失われると、これらのシステムが機能を停止し、データの損失や生産ラインの遅延が発生します。
また、リアルタイムの在庫管理システムが機能しなくなり、サプライチェーン全体に混乱をもたらす可能性や、品質管理システムが機能しなくなり、製品の品質保証が困難になる可能性もあります。
このように、DX化が進んだ工場では停電時にさまざまなリスクが顕在化するため、リスク軽減のために電力供給の安定性を確保する対策が不可欠です。
最も重要な電源の確保はどのように行うか
工場内に非常用発電源があれば、停電時に必要最低限の生産設備やシステム、PCなどに供給する電力を確保することが可能です。これにより、コアとなる業務や生産活動を停止させることなく継続でき、停電の影響を最小化できます。
主な非常用電源としては以下の種類があります。
なお、導入にあたってはさまざまな補助金が用意されているので、活用することがおすすめです。
LPガス発電機
LPガス発電機は、液化石油ガス(LPG:LPガス)を燃料としてエンジンを駆動し、電力を生み出す発電機です。
LPガスは工場敷地内のバルク貯槽またはシリンダー容器に備蓄でき、配管を通さず供給できるため、災害時に供給途絶が起こりません。排気中に二酸化炭素や黒煙を含まないので、ガソリンと比較して環境への影響も抑えることができます。
また、LPガスは長期保存が可能で劣化しにくいため、非常用電源として信頼性が高いこともメリットです。
ただし、屋内や換気の悪い場所での使用は危険であり、消防法に基づく設置基準を遵守する必要があります。
ディーゼル発電機
ディーゼル発電機は、ディーゼルエンジンによって軽油を燃焼させて電気を生み出す発電機です。
小型から大型までさまざまな機種があり、幅広い出力に対応可能です。本体価格や燃料単価が比較的安価であり、広い設置スペースを確保できなくても導入しやすい点もメリットです。
一方で燃料が劣化しやすく、振動や騒音、排気ガスの発生が比較的多いデメリットがあります。
産業用蓄電池
産業用蓄電池は大規模な電力の貯蔵ができる蓄電装置であり、一般住宅以外の施設に設置するものを指します。余剰電力を蓄えておくことができ、必要に応じて電力を供給することが可能です。
家庭用蓄電池と比較してはるかに大きな容量を持ち、平時でも工場の稼働に必要な電力量を供給できます。適切なメンテナンスをすることで、長期間の使用にも耐えられます。
導入する際には、用途に適したサイズと種類の製品を選ぶことが重要です。
そのほかにできる工場の停電対策とは
非常用電源は停電時に重宝しますが、災害時には電源自体が被害を受ける可能性があり、常時使用できるとは限りません。
電気式避難誘導灯が機能しなくなる可能性もあるため、非常用原電を確保しつつも、なるべく工場内の電力に頼らない形で停電対策を行う必要があります。
以下では、そうした工場の停電対策をご紹介します。
社用車を電気自動車(EV)に切り替える
環境への配慮を考え、近年は電気自動車(EV)を社用車として導入している企業も少なくありません。
電気自動車のバッテリーは容量が大きいため、非常時の電源として活用することが可能です。非常用電源を使用できない場合でも、電気自動車の電力を活用することで最低限の電力を供給できるようになります。小規模な電力需要であれば、満充電になった電気自動車のバッテリーからの電力供給で数日間稼働させることも可能です。
バッテリー式のPCを利用する
従業員が業務で使用するPCを、ノートPCのようなバッテリー搭載型のものにすることも停電対策の1つです。デスクトップPCは電力供給が常に必要であり、停電が発生した途端に使用できなくなり、データが損失するおそれもあります。
バッテリーが搭載されたPCであれば、停電発生時にもデータ損失を回避でき、一定時間作業を継続できます。インターネット接続が維持できれば、情報収集や連絡手段として使用することも可能です。
非常用ライトを準備する
災害による停電発生時に避難する必要がある場合に備えて、非常用ライトを施設内のあらゆる場所に置いておくことも重要です。
非常用ライトとしては懐中電灯のほかヘッドライトやランタンなどさまざまな種類があり、用途や場所に応じて適切なものを用意します。
手軽で導入コストもそれほどかかりませんが、それだけに見落としがちな対策なのでしっかりと準備しておきましょう。
蓄光テープにより視認性を高める
避難をする際は、ライトで足元を照らすだけではなく、階段や障害物の場所や避難経路が分かりやすくなっていると迅速に避難できます。そこで役に立つアイテムが、光を蓄えて暗闇で発光する蓄光テープです。
蓄光テープを導入することで、停電により電力が供給されない場合であっても、危険箇所や避難経路の視認性を高めることができるため停電時に有効な対策となります。
一度光を蓄えると数時間(製品によっては10時間以上)にわたって発光し続けるため、長時間の停電にも対応可能です。
工場の停電対策は高輝度蓄光テープ エルクライト™がおすすめ
工場や倉庫の停電対策として現場の視認性を高めるには、日東エルマテリアルの高輝度蓄光テープ「エルクライト™」がおすすめです。
エルクライト™は、蛍光灯や太陽光などの光を蓄えて暗闇で発光することで目印となる、防災用途に開発されたテープです。
白色LEDの光も吸収するため、工場や倉庫内で停電が発生した際も、高い輝度で現場環境の視認性を高めることに役立ちます。
JIS規格(JIS Z9107)で定められた輝度を大幅に上回り、高い耐候性、耐摩耗性、耐薬品性等を有する、耐久性にすぐれた製品です。
エルクライト™にご興味のある方は下記よりお問い合わせください。