倉庫作業でのKYTで安全対策|進め方とすぐできる対策を紹介
倉庫作業には危険がつきものであり、事故のリスクを少しでも下げる必要があります。そこで役に立つのが「KYT」(危険予知トレーニング)です。KYTを実施する際には、危険の洗い出しや絞り込み、対策の検討などを正しい順序で進めていくことが大切です。
本記事では、倉庫作業におけるKYTの概要や進め方、KYTで発見した危険除去に役に立つアイテムをご紹介します。
高輝度蓄光テープ-エルクライト™.png)
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倉庫作業に必要なKYT(危険予知トレーニング)とは
倉庫では重い荷物やフォークリフトなどを扱い、さらに狭い通路や死角になっている場所などもあるため、少しの油断で思わぬ事故が発生することがあります。
こうした環境の中で事故リスクを低減するために効果的な対策のひとつが、「KYT」(危険予知トレーニング)です。
KYTで重要なのは「危険を見つけること」
倉庫作業における事故は、決して偶然に起こるものではありません。多くの場合、事故の前には何らかの「予兆」や「危険のサイン」が存在しています。
事故防止の第一歩は、こうしたサインにいち早く気づくことです。危険を発見できれば、安全対策テープの貼付(後述)や、段差のマーキング、作業手順の見直し(通行ルートの変更、声かけルールの導入など)といった予防措置を講じることが可能になります。
こうした予防措置を実施する際によく活用されているのが KYT(危険予知トレーニング)です。KYTとは、「危険に気づく力=危険感受性」を高めるための訓練であり、作業員が作業前に現場の状況を確認し、潜在的な危険を洗い出した上で共有し、具体的な対策を話し合うプロセスです。これにより、現場の安全性を大きく向上させることができます。
KYTの目的は、「見慣れた風景の中に潜む異常」を見抜く力を養うことにあります。たとえば、以下のような倉庫現場でよく見られる危険は、日常的であるがゆえに見過ごされがちです。
・段差や傾斜:荷物を運ぶ際に足元が不安定になり、転倒の原因となる
・滑りやすい床面:雨や油による濡れが放置されると、重大な転倒事故につながる
・棚による死角:人や車両の動きが見えづらくなり、衝突のリスクが高まる
・フォークリフトとの交差地点:人と車両の動線が交差する場所では、常に接触事故の危険がある
こうした状況は倉庫での事故の引き金になり得るため、確実に洗い出し、改善することが重要です。
倉庫作業におけるKYTの進め方(4ラウンド法)
KYTを実施する際には、「4ラウンド法」と呼ばれる手法がよく活用されています。4ラウンド法は、危険の発見から対策の実行までを体系的に進めるための訓練であり、KYTの土台となる方法論といえます。
以下では、各ラウンドの進め方を解説します。
第1ラウンド|危険の洗い出し
まずは、倉庫の現場写真や図面を用意し、作業員全員で潜在的な危険箇所を指摘します。ここでの目的は「気づく力」を養うことです。危険を想起させるために、倉庫作業で頻発する典型的な危険例を参考として提示すると、より効果的です。
危険例としては以下のようなものがあります。
・フォークリフトとの接触:交差ポイントや棚の死角での接近
・荷崩れ・落下:棚上部の不安定な荷物、パレットの積載不良
・段差・階段でのつまずき:視認性の低い段差や踏み外し
・薄暗い場所での視認性不足:照明が不十分な通路や隅
・濡れた床での滑り:雨天時の搬入口、冷凍庫前の結露
この段階では、どんな些細なことでも「危険かもしれない」と思ったら遠慮なく挙げることが重要です。
第2ラウンド|重要な危険の絞り込み
洗い出された危険の中から、重大事故につながる可能性が高いものを優先的に抽出します。ここでは「どの危険が最も深刻か」「どれが生命や身体に深刻な被害を与えるか」を基準に優先度をつけ、それらを改善する方針を立てます。
【絞り込みのポイント】
・人命に関わる危険(高所からの落下、車両との接触など)
・頻度が高く、再発の可能性がある危険
・対策が遅れると被害が拡大する危険
この段階では、現場の実態に即した判断が求められます。過去のヒヤリ・ハット事例も参考にすると効果的です。
第3ラウンド|対策の検討
特定した危険を防止するための具体的な方法を話し合い、改善案を出します。ここでは「現場で実行可能な改善策」を出すことがポイントです。
具体的な対策としては以下が挙げられます。
・物理的な設備改善:安全対策テープの貼付、照明の増設、ミラーの設置など
・運用ルールの変更:フォークリフト通行時間の分離、人の動線の見直し
・作業手順の見直し:荷物の積載方法の変更、声かけルールの導入
現場の制約やコストも考慮しながら、実効性の高い対策を選定することが重要です。
第4ラウンド|目標設定と共有
最後に、実施する対策を明確にし、作業員全員で行動目標を共有します。ここでの大きな目的は「現場全体の意識を高めること」です。
意識づけの主な方法としては以下があります。
・対策内容を掲示板や朝礼で共有
・指差し呼称による確認(例:「フォークリフト、よし!」)
・定期的な振り返りと改善活動の継続
このラウンドを通じて、KYTを単なる一時的な取り組みではなく、現場文化として根付かせるようにしましょう。
KYTで見つけた危険を改善する「安全対策テープ」活用法
KYTで発見したリスクを軽減する際に役立つアイテムが「安全対策テープ」です。安全対策テープは、発光や滑り止めといった特性により事故リスクを軽減する効果を持つテープであり、低予算ですぐに導入できます。
以下では、倉庫現場でよく利用される4種類の安全対策テープをご紹介します。
蛍光テープ|通路・段差・柱など、視認性を高めて事故を防ぐ
蛍光テープは、周囲の光を効率的に反射・拡散することで視認性を高める、特殊な素材で作られたテープです。照明が届きにくい場所でも目立つ色彩を放つため、倉庫内の柱や棚の角、機械の周辺など、死角になりやすい箇所に貼ることで事故の予防に役立ちます。また、蛍光色は自然光の下でも目立つため、明るい時間帯でも安全性を確保できます。
こうした汎用性と高い視認性があることから、安全対策の定番アイテムとして重宝されています。
■活用シーン例
・パレットの通路境界線を明示し、歩行エリアと区別
・足元の段差やステップ部分に貼付し、つまずきを予防
・支柱や扉の縁に貼り、接触事故を防止
視認性向上に最適な蛍光テープはこちら
蓄光テープ|停電・夜間作業時の視認性確保に
蓄光テープは、明るい時間帯に光を蓄え、暗闇で自ら発光する特性を持つテープです。長いものでは10時間以上発光するものもあり、電力を使わずに光を放つため、停電時や夜間でも長時間視認性を確保できるのが大きな特徴です。このため、避難誘導やBCP(事業継続計画)対策としても高い効果を発揮します。耐水性や耐久性に優れたタイプもあり、倉庫の出入り口のような雨が吹き込む場所や、湿度の高い場所でも使用できます。
一度光を吸収すれば光源を必要とせず、電源も不要であるため、非常時に確実に役立つアイテムです。
■活用シーン例
・非常口や避難ルートの足元に貼り、暗所でもルートを明示
・停電時に出口が分かりにくくなる倉庫の出入口に設置
・ブレーカー・消火器・避難はしごなど重要設備の位置表示に活用
停電時や夜間でも視認性を担保する蓄光テープはこちら
反射テープ|フォークリフトや車両のライトに反応して注意喚起
反射テープは、光を反射する特殊な素材で作られた粘着テープです。車両やフォークリフトのライトに反射して強く光る性質を持っており、光源さえあれば暗所や夕方以降の作業でも高い視認性を確保します。人の目が届きにくい時間帯やエリアにおいて、機械のオペレーターに“気づき”を与える手段として活用されています。
特に動線の交差点や構造物の角部など、注意喚起が求められる箇所に貼り付けると効果的です。
■活用シーン例
・フォークリフトが通行する通路や交差点周辺の危険エリアを囲う
・移動式ラックや大型棚の角に貼付し、接触防止対策として
・夜間に人や車両が出入りする搬入口の目印として活用
様々な用途で利用できる反射テープはこちら
滑り止めテープ|雨天や凍結時でも安定した足元を確保
滑り止めテープは、表面に摩擦力の高い素材を施した粘着テープです。表面に鉱物粒子やゴム素材などを使用することで靴底とのグリップ力を強化しており、滑りやすい場所での転倒事故を防ぐために使用されます。特に雨や油で濡れやすい出入口や作業エリアに貼ることで、滑りによる事故を防止できます。金属製の階段・スロープといった滑りやすい環境での使用も効果的です。
また、屋外使用にも対応したタイプがあり、雨天時や冬季の凍結といった足元が不安定な状況下でも、安全を確保する手段として活用できます。
■活用シーン例
・倉庫の出入口(雨水の吹き込みがある箇所)に設置し、滑り防止
・トラックヤードから建屋内へ続くスロープ部の転倒防止対策
・金属製階段やリフト前の待機スペースなど、滑りやすい箇所に設置
貼るだけで簡単に滑り止め効果が得られる滑り止めテープはこちら
倉庫作業の効率化・防災対策は日東エルマテリアルの防災対策ソリューションで
KYTは単なるマニュアルの遵守ではなく、現場ごとの状況に応じた柔軟な危険察知と対応力を育てるための実践的な取り組みです。4ラウンド法を通じて危険を洗い出し、改善策を明確にした上で、安全対策テープを活用して事故リスクをゼロに近づけていきましょう。
日東エルマテリアルでは、安全・衛生・防災対策のためのさまざまなソリューションを提供しています。
防災・安全対策のための蛍光テープ・反射テープ・蓄光テープをはじめとして、保護クッションや路面標示シートなどを提供していますので、ご関心のある方はぜひご覧ください。
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お役立ち資料

この資料で分かること
- 蓄光テープを効果的な防災対策にするためのポイント
- 防災対策としての”蓄光テープ”の選定ポイント
- 蓄光テープのユースケース(工場・倉庫・建築現場など)
カタログ資料
