工場や倉庫の暗所は事故の原因に?
安全に作業するために必要な対策を紹介
工場や倉庫において、暗所での作業は機械の操作ミスや転倒・踏み外しなどを誘発し、事故やケガのリスクを高めます。また、集中力の低下やミスの発生により作業効率が低下することも考えられます。安全に作業するためには、一定の明るさを確保することが非常に重要です。本記事では、工場や倉庫の暗所での作業におけるリスクや、安全性を高めるための対策をご紹介します。
工場や倉庫は危険が多い
多くの機械が稼働し、重いものを運んだり機械を操作したりするなど危険を伴う作業が多い工場や倉庫は、オフィスに比べて事故が起こりやすい職場です。事故が発生すると作業員がケガをしてしまい、最悪の場合、亡くなるケースもあります。
また、事故により作業ラインが停止すると生産活動に影響が生じ、生産性が低下するほか、労働災害と認定され安全配慮義務に違反しているとみなされた場合には、損害賠償が発生する可能性もあるなど、経営上の大きなリスクにもなります。
厚生労働省の資料によると、労働災害における休業4日以上の死傷者数は、毎年12万~13万人前後であり、令和5年は133,169人でした※。2003年以降はほぼ横ばいの状況となっており、毎年多くの方が業務中の事故に巻き込まれています。
このうち、多くを占めているのは「転倒」や「動作の反動・無理な動作」、「墜落・転落」などであり、これらは不注意などに伴う人的ミスであると言えます。こうしたヒューマンエラーによる事故を防ぐためには、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底や安全に関するマニュアルの整備、安全教育・リスクアセスメントの実施といった対策が重要です。
※出典:厚生労働省「令和5年労働災害発生状況」
以下の記事では、5Sやリスクアセスメントなど、工場が実施するべき安全対策の種類について解説しています。
また、職場の環境を整えることも事故を防ぐ上では非常に大切です。例えば、照明が薄暗いと手元や足元が見えにくくなることに加え、電気配線や機器が乱雑に配置されていると、つまずいて転倒するなどの危険があります。このような環境を改善することで、現場の安全性が高まることはもちろん、作業効率や生産性の向上も期待できます。
暗所で発生するトラブル
職場環境の整備を行う際に特に改善したいのが、暗所での作業です。暗い場所での作業には、以下で説明するように多くの危険が潜んでいます。
機械や工具でのケガ
工場ではさまざまな工具を使って作業しますが、作業環境が暗いと手元がよく見えず、機械や工具を正しく見分けたり、安全に操作したりすることが難しくなります。手元がよく見えないことにより工具の操作ミスが発生するとケガのリスクが高まることはもちろん、機械の操作を誤ってしまうと他の作業員を巻き込むなど、より重大な事故につながりかねません。
また、暗い状態では機械や工具の異常も見落としがちであり、それが事故やケガの原因となる可能性もあります。
つまずき・踏み外し
暗い環境では、床の段差や階段が見えにくくなり転倒や踏み外しが起きやすくなるほか、工場や倉庫には多くの機械や工具、製品、部品などが存在し、それらに気付かずにつまずいてケガをするリスクがあります。
例えば、倉庫内では棚や多くの荷物が配置されているために見通しが悪く、照明の光が届きにくい箇所も少なくありません。照明のスイッチを探しているときに段差につまずくケースなどもあります。
高所での作業や重いものを運んでいるときに転倒や踏み外しが起きると、より大きな事故につながるおそれがあります。機械や棚などによって照明の光が遮られている場所は、特に注意が必要です。
作業効率の悪化
暗い環境では、作業員が手元の状況を正確に把握しにくくなり、作業のスピードが遅れたり、手戻りが増えたりすることがあります。細かい手作業が多い工程では特に、作業効率の悪化やミスの増加につながりやすいでしょう。
また、暗い環境は作業員の目に必要以上の負担をかけてしまうため、集中力や注意力の低下につながり、これによりミスや事故の発生率が上がる可能性もあります。暗い環境での目の酷使が続くと、視力の低下や疲労の蓄積も起きやすくなるため、作業を行いやすい明るい環境を整えることが重要です。
安全に作業するために必要な対策
暗い場所での作業に伴うさまざまなリスクを減らし、安全に作業するために必要な対策としては以下の5つが挙げられます。
適切な照明の設置
暗所においては、適切な場所や数の照明を設置し、一定以上の明るさを確保することが不可欠です。明るく均一な照明を確保する上では、天井や壁にLEDライトや蛍光灯を設置することが効果的です。
作業エリアのように生産性に直結する場所や、段差のある通路や階段などのつまずき・転倒が発生しやすい場所は、特に追加の照明を設置して明るさを高める工夫が求められます。
緊急灯の設置
緊急灯は、災害や停電発生時に安全かつ迅速に避難するための照明機器です。緊急灯を倉庫や工場内の避難経路や緊急の出口などに設置することで、その場所が明るく照らされ、安全な避難が可能となります。
停電時など電力供給が絶たれた際に点灯する必要があるため、蓄電池などで駆動するものが一般的です。
反射材・蓄光材の使用
反射材とは、光が当たった際に、光源に向かって光を反射する素材のことです。一般的な反射とは異なり、どのような方向から光が当たっても光源に向かって反射する性質(再帰反射)を持ちます。
反射材は、それ自身では光を発しないものの、この再帰反射の作用により暗所での視認性を向上させることが可能です。
蓄光材とは、蛍光灯・LEDライト・太陽光など光エネルギーを吸収し、暗所で放出する素材のことです。 光エネルギーを一旦蓄えると徐々に放出されますが、また光が当たれば蓄光を繰り返します。レアメタルを主体としており高価ですが、反射材同様に電力を不要とするため、ランニングコストやメンテナンス費がかからないことから、暗所の目印として有効です。
以下では、蓄光テープの使い方や選定ポイント、蓄光と混同されやすい反射や蛍光について解説しています。
具体的な製品としては蓄光テープや反射テープ、反射ベストなどがあり、作業者が身につけたり機械に貼りつけたりすることで、作業員の安全性を確保することができます。
訓練と意識向上
暗所での作業時には高い注意力や集中力が必要であり、周囲の環境を注意深く観察し、危険を早期に察知する能力が求められます。
そうした能力を養うため、暗所での作業が必要になる場合には、作業員に対して暗い環境下での安全な作業に関する訓練を行うことが重要となります。作業員の安全意識を啓発するための、定期的な教育活動を実施することも有効です。こうした訓練や教育活動を通じて、作業員は安全意識を高め、暗所でのリスクを把握し、適切な行動を取ることができるようになります。
定期的な点検とメンテナンス
照明設備や緊急灯、反射材などの設備は定期的に点検およびメンテナンスを行う必要があります。定期点検を行うことで、照明の不具合や反射材の劣化などを早期に発見し、適切なタイミングで修理や交換を行うことができるようになります。これにより、安全設備の機能を維持し、作業環境の安全性を高めることが可能です。
また、暗所での作業に関連する安全対策が適切に実施されているかを定期的に評価することも大切です。
作業時の薄暗さを改善することで期待できる効果
工場や倉庫における作業時の薄暗さを改善することで、以下のような効果が期待できます。
事故やトラブルの防止・削減
照明が適切に配置し、作業環境の明るさを高めることで、作業員が機械や工具などを正確に認識できるようになり、手元が見やすくなるため、操作ミスなどによる事故やケガのリスクが低減します。
また、照明の明るさが増すことで地面の段差や障害物がより明確に判別でき、つまずきや踏み外しによる転倒事故を予防できます。
このように、作業時の薄暗さを解消することで、現状よりも事故やトラブルの少ない工場・倉庫の環境へと改善することが可能です。
作業効率が上がる
作業環境を明るくすることで、作業内容を正確に把握しやすくなり、作業の手戻りやミスの減少につながり、作業効率が向上します。また、明るく作業がしやすい快適な環境下では作業員の集中力や注意力が高まり、この点でも作業効率が向上します。
このように、周囲のモノを視認しやすい環境での作業は、効率性の面でも効果があると言えます。
「高輝度蓄光テープ エルクライト™ 」の紹介
「高輝度蓄光テープ エルクライト™ 」は、蛍光灯や太陽光などの光を蓄え、暗闇で発光することで目印の役割を果たす、防災用途に開発された高輝度蓄光テープです。
停電時や暗所での階段や障害物の周りに高輝度蓄光テープを貼ることにより、暗闇の状態でも危険な箇所がわかりやすくなり、安全に行動できるようになるなど、事故防止対策として効果を発揮します。
また、停電時に電気を使わずに機能する避難誘導として、足元や避難経路を示すことが可能です。
上記以外にも、手すりや段差、通路に貼りつけることで暗所での視認性を向上させたり、消火器やヘルメット等の位置を明示したりすることにも活用できます。
「高輝度蓄光テープ エルクライト™ 」詳細については、下記の資料をご覧ください。