転倒災害でのヒヤリハット事例を解説 すぐにできる転倒対策も

2025年2月4日
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工場や倉庫では、転倒に関連するヒヤリハットが発生する場面が多く、一歩間違えると大事故が発生する可能性があります。ヒヤリハットを防ぐためには、床の清掃や通路の整理整頓、視認性向上などの対策を徹底することが重要です。
本記事では、転倒災害におけるヒヤリハットの事例や、ヒヤリハットを防ぐためのポイント、すぐにできる転倒対策を解説します。

転倒災害でのヒヤリハット事例を解説 すぐにできる転倒対策も 転倒災害でのヒヤリハット事例を解説 すぐにできる転倒対策も

ヒヤリハットとは

ヒヤリハットとは、業務中における大きな事故や災害の原因になりかねない出来事のことです。ケガには至らなかったが危険を感じた出来事や、一歩間違えれば事故になるところだった場面など、思わず「ヒヤリ」あるいは「ハッ」とするような事態を指すことからこう呼ばれます。

厚生労働省兵庫労働局は、「危ないことが起こったが、幸いにも災害には至らなかった事象」※と定義しており、業務中に発生したヒヤリハットを記録し適切な対策を講じることで、重大な事故を避けることができます。

※出典:厚生労働省兵庫労働局「ヒヤリハット活動でリスクアセスメント」

転倒災害でのヒヤリハット事例

床の滑りやすい箇所での事例

工場や倉庫では、油や水などが飛散することで床が滑りやすくなることがあります。
例えば、雨の日に人が出入りすることで入口付近が水で濡れ、そのことに気づかず滑りそうになる場合や、機械から漏れ出たオイルや冷却水が床に落ち、清掃する前にその箇所を歩くことで足を滑らせるといった場合が考えられます。
冷凍倉庫の搬入口付近で結露が発生したり、原材料や製品の破片が散らばっていたりする状態も滑りやすいため注意が必要です。

物の配置や整理不足による事例

通路に置かれた段ボールやパレットなどが放置されると通行の妨げとなり、足を取られ転倒する危険があります。
また、「棚から商品や部品が落ちたのを放置している」、「整理されていない工具が通路に散乱している」、「多くの電気コードが床に這わされている」といった状態も足を取られる原因となります。

フォークリフトや台車との接触に関わる事例

狭い通路でフォークリフトや台車が通行しているときに、作業員と接触、あるいは接触を回避しようとして転倒するケースがあります。
接触事故に至らなかったとしても、例えば「フォークリフトの死角に入ってしまい、運転手が気付いて急停止した」、「フォークリフトのバック音が聞こえず、後ろから近づいてきたフォークリフトと接触しそうになった」といったような、一歩間違えれば大きな転倒事故につながりかねないヒヤリハットもよく起きます。
また、フォークリフトが急旋回することで床が破損し、その部分が滑りやすくなることで転倒のリスクが高まることも見逃せません。

ヒヤリハットが事故になる前に気づくポイント

ヒヤリハットが大きな事故につながらないようにするためには、床が滑りやすい状態(水や油が床に広がっている、結露で濡れているなど)や物に足を引っかけやすい状態(製品や部品、工具が落ちている、パレットや箱が整理されていないなど)などの「小さな危険」を見逃さないことが重要です。
また、通路が暗い、作業スペースが狭い、障害物で歩きにくいと感じた場合には早急に改善する必要があります。
他の作業員が危険な動きをしていないか注意深く観察したり、危険予知活動(KY活動)を実施したりすることも事故防止に役立ちます。

転倒災害のヒヤリハットを対策するには

転倒に関連するヒヤリハットを防ぐための対策としては、以下の5つが挙げられます。

床の清掃と滑り止め加工

転倒災害防止のため、床の清掃は最優先事項です。
こまめに清掃して水分や油分を取り除き、床を常に乾燥・清潔に保つことが重要です。滑り止めシートの設置やエポキシ加工を施すことによって物理的な滑りを抑制することができます。
さらに、清掃頻度や清掃の担当者・責任者を明確にすることも効果的です。これらの対策により、転倒リスクを軽減できます。

通路の整理整頓と視認性向上

通路に障害物があると転倒リスクが高まるため、作業エリアでは物品の整理整頓を徹底し、使用頻度の低いものは専用の保管場所に移動させる必要があります。
通路とそれ以外の場所を明確に線引きし、通路に障害物を置かないルールを徹底することも重要です。必要に応じてLED照明を導入したり、床面の段差や危険箇所に目立つマーキングを施したりすることで、暗いエリアの視認性を高めることができます。

滑り止めシューズの支給

転倒を防止するために、滑り止め機能を持つ安全靴を標準装備とすることも重要な対策です。特に濡れやすい場所や滑りやすい環境では着用を必須とすることで、作業員の転倒リスクを軽減することが期待できます。

作業マニュアルの再確認

転倒災害を防ぐには、作業マニュアルの再確認と更新が必要です。特に、清掃手順や危険を回避するための具体的な行動を具体的に示し、従業員が守るべき行動を明確化します。
作業効率の向上だけでなく、安全性を考慮した手順を追加し、作業環境全体の安全性を向上させることが求められます。

定期的な安全研修の実施

定期的に安全教育を実施し、ヒヤリハット報告の重要性を共有することが重要です。加えて、具体的な対策を議論する場を設けると効果的です。
さらに、実際の事例を交えたワークショップ形式の研修を行うことで、作業員のリスク回避能力を高め、安全意識を向上させることが期待できます。

すぐにできる対策とは

蓄光テープや注意喚起標識の活用

太陽光や照明の光を吸収し、暗い場所で発光する蓄光テープを通路の端や危険エリアに貼ることで、視認性を高めることが可能です。加えて、立ち入り禁止区域や注意を促す標識を設置し、作業員が容易に認識できるよう環境を整える必要もあります。

滑り止めテープの活用

滑りやすい床面に滑り止めテープを貼ることで、作業員の安全性を向上させることができます。特に、階段の踏み板の端や、スロープ、段差のある通路、濡れやすい出入口付近など、転倒リスクが高い場所に施工することで、安全性を向上させることができます。

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転倒災害対策は日東エルマテリアルの防災対策ソリューションで

日東エルマテリアルでは、安全・衛生・防災対策のための様々なソリューションを提供しています。
転倒対策のための滑り止めテープや蓄光テープをはじめとして、保護クッションや路面標示シートなどを取り扱っています。
例えば、高輝度蓄光テープ エルクライト™は、蛍光灯や太陽光などの光を蓄えて暗闇で発光することで目印となるテープであり、高い輝度で現場環境の視認性を高めることができ、転倒災害防止に役立ちます。

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お役立ち資料

【ユースケース付き】防災対策としての蓄光テープの課題と選定ポイントについて解説
災害時に身の安全を守りつつ速やかな避難を実現するためには、視界の確保が重要であり、停電時の対策の一つとして、蓄えた光を暗闇で放出する蓄光テープがあります。蓄光テープは、電力を消費しない視界確保が可能であり、発光時間は数十分のものから数時間、あるいは10時間以上のものまで製品によってさまざまです。 そこで本資料では、蓄光テープ導入時に知っておきたい課題や選定のポイントについてご紹介いたします。 ユースケースを交えて解説しておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。 【こんな方におすすめ】 ・蓄光テープの導入を検討している ・蓄光テープの具体的な活用シーンや例を知りたい ・蓄光テープを導入する際に気を付けておくべきポイントを知りたい
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蓄光テープを施工する際の注意点や製品選定の目安をご紹介しております。 床面や壁面、障害物に、階段、避難口など活用が想定されるポイントに対して 画像付きで解説しておりますので、ぜひご参考ください。
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