転倒災害を防止するには? すぐに実践できる対策も紹介
工場や倉庫では様々な労働災害が起こり得ますが、その中でも特に多く発生するのが転倒災害です。転倒災害は滑りやつまずきなどを原因とし、怪我の程度によっては長期的な休業を余儀なくされることもあるため、しっかりと対策をする必要があります。
本記事では、転倒災害を防止することが重要な理由や、転倒災害の原因、すぐにできる対策方法を解説します。
転倒災害の対策が重要な理由とは
工場や倉庫には多くの機械や機材、工具、荷物などがあり、段差や階段、暗い場所や足場の悪い場所もあるため転倒災害が頻繁に起こります。そのため、転倒災害対策を行うことが非常に重要です。
休業4日以上の労働災害で最も多い約1/4を占める
転倒災害は、労働災害の中で最も発生頻度が高い災害です。厚生労働省のデータによれば、令和3年における休業4日以上の労働災害による死傷者数(149,918人)のうち、転倒災害は33,672人と25%近くを占めています。
このように転倒災害は頻繁に発生していることから、職場の安全を確保するために適切に対策を講じる必要があり、放置すれば従業員の健康や生産性に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
転倒災害による平均休業日数は47日
転倒災害による平均休業日数は47日と、長期にわたる傾向があります。特に高齢者の場合、筋力や柔軟性が低下しているために転倒のリスクが高まっています。さらに高齢者が転倒すると、骨折のような重傷を負うことが多く、復帰までに長期間を要するケースが少なくありません。
従業員の長期間の休業は、企業にとってコストの増加や人員不足といったリスクを引き起こします。慢性的な人手不足に陥っている企業や、高齢の従業員を多く抱えている企業は特に注意しなければなりません。
⼀度の転倒で最悪の場合、寝たきりになることも
「転倒災害は転落・墜落やはさまれ・巻き込まれなどに比べると、それほど大きな怪我にはつながらないのでは?」
このように考える人もいるかもしれませんが、実際には一度の転倒で大きな怪我を負い、最悪の場合、身体機能の低下や寝たきりの状態に至るケースもあります。
特に高齢者の場合、加齢により骨密度が低下する「骨粗しょう症」の状態になっている人が多く、骨折リスクが高まります。手術やリハビリを受けても、加齢による筋力の低下や回復力の低下のために十分に回復せず、一度の転倒がその後の生活に深刻な影響を及ぼすことも少なくありません。企業としても、こうした事態を未然に防ぐことが求められます。
転倒災害を原因とする怪我には、主に以下のものがあります。
・骨折(全体の約70%を占める)
・打撲
・眼球破裂
・外傷性気胸
短期間の治療で完治するものがある一方、長期的な後遺症を伴うものもあるため、職場での注意喚起や対策が非常に重要です。
転倒災害が起こる主な原因
滑り
転倒災害の原因として多いのが「滑り」です。
水、油、雪、氷、砂、ホコリなどが床に付着していると滑りやすくなります。例えば、雨の日には工場や倉庫の入口付近の床が濡れ、「滑り」が発生しやすい状態になります。
靴底が磨耗して滑り止めの効果が弱まっている場合も注意が必要です。
つまずき
「つまずき」も転倒災害のよくある原因の1つです。
例えば、古い建物や屋外の通路では、床に凹凸や小さな段差がある場合が多く、そこに足を取られてつまずきが起こりやすくなります。電源コードや工具、荷物など、通路上にある障害物につまずくケースや、荷物を運ぶ場面のように視界がふさがれている状況でつまずくこともよくあります。
暗い場所を移動する際にも注意が必要です。
踏み外し
「踏み外し」は、高低差のある場所や不安定な足場で作業を行う場合に発生しやすい原因です。
例えば、倉庫や工場で使用される作業用の踏み台や階段で、足を置く場所を十分に確認せずに移動したり、急いで階段を上り下りしたりして段を踏み外し、転倒する事故がよく見られます。
急いでいるときでも足元を常に確認し、ゆっくりと確実に移動することが大切です。
転倒災害の対策方法
計画的に行うべき対策
・動線や段差の見直し
転倒災害の多くは、動線や段差の不備に起因するため、これを改善することで事故のリスクを低減できます。動線の変更や段差の解消など、物理的な改善を計画的に行い、長期的な視点で安全な作業環境を整備することが重要です。例えば、複雑な経路を避け、直線的でわかりやすい経路を設定することや、可能であれば段差をなくしフラットな床面にするなどの対策が考えられます。
・整理整頓
整理整頓は転倒災害防止の基本であり、特に、つまずきや滑りの原因となる障害物を取り除くために重要です。
工具や荷物などが散乱していないか、床に不要なものが置かれていないかを確認し、そうしたものが置かれている場合には速やかに片付けます。通路を確保し、安全な移動スペースを作ることも重要です。
継続的に行うことで効果的な対策
・従業員の意識向上
物理的に安全な環境を整えるだけでなく、従業員の安全意識を高めることも不可欠です。
そのためには定期的に安全教育を実施し、転倒リスクについて従業員に周知したり、「滑り」「つまずき」「踏み外し」の危険性を具体的に説明し、注意喚起を行ったりすることが重要になります。
・転倒防止プログラムの導入
転倒や怪我をしにくい身体づくりのための運動プログラムを実施する対策もあります。
プログラムの導入にあたっては、中小企業事業者は「エイジフレンドリー補助金」(補助率1/2または3/4、上限100万円)を利用できる場合があります。特に運動機能や筋力が低下し、転倒のリスクが高まっている高齢の従業員向けに導入すると効果的です。
すぐに実践できる対策
・テープなどを活用して滑り止めを行う
すぐに実践できる対策として、滑りやすい場所に滑り止めテープを貼る方法があります。滑り止めテープは、強い摩擦力を持つ素材で作られており、足元の滑りを防ぐ効果があるほか、手すりに貼ることもできます。
滑り止めマットやカーペットを設置し、滑りやすい場所を減らす対策も効果的です。
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・蓄光テープで暗所の視認性を高める
暗所での事故リスクを軽減するため、夜間や薄暗い環境では照明を点け、視認性を高めることを徹底する必要があります。
照明を設置することが難しい場合は、蓄光テープを貼ることも効果的です。蓄光テープは、日中や明るい環境で光を吸収し、暗闇で蓄えた光を放つテープです。電力を必要とせず、階段や段差、避難経路などに簡単に設置できます。
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転倒災害対策は日東エルマテリアルの防災対策ソリューションで
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