フォークリフトでのヒヤリハット事例を解説 すぐにできる対策も解説
工場や倉庫では、フォークリフトの運転に伴うヒヤリハットが発生する場面が多く、一歩間違えると大事故につながる危険があります。特に後方の確認不足による接触や、バランスを崩すことによる荷物の落下などには注意が必要です。
本記事では、フォークリフトでのヒヤリハットの事例や事故の主な原因、ヒヤリハットを防ぐためのポイントを解説します。
高輝度蓄光テープ-エルクライト™.png)
高輝度蓄光テープ-エルクライト™.png)
ヒヤリハットとは
ヒヤリハットとは、重大な事故や災害の原因になりかねない危険な事象のことです。ケガには至らなかったが危険を感じた出来事や、大きな事故寸前だった場面など、思わず「ヒヤリ」あるいは「ハッ」とするような事態を指すことからこう呼ばれます。
厚生労働省兵庫労働局は、「危ないことが起こったが、幸いにも災害には至らなかった事象」※と定義しており、業務中に発生したヒヤリハットを記録し適切な対策を講じることで、大きな事故を避けることができます。
フォークリフトのヒヤリハット事例
後方の作業員に気づかず接触寸前になった
フォークリフトは構造上、後方が死角になりやすく周囲の状況を把握しづらいため、後進する際には特に注意しなければなりません。
例えば、フォークリフトを使用して荷物を移動させようとしたところ、後方にいた作業員に気づかず接触しそうになる事例がよくあります。適切な区画整理が行われておらず作業員とフォークリフトの動線が重なる、通路が狭い、警告音が聞き取りづらいといった環境も、ヒヤリハットを引き起こす原因となります。
また、周囲の安全確認が不十分で、作業員や歩行者の存在をよく把握しないまま運転すると、接触リスクが高まります。
荷物がバランスを崩して落下し、作業員に当たりそうになった
荷物の落下に起因するヒヤリハットは、不安定な積載や運転操作ミスが原因となり発生する事例です。
例えば、荷物を高所の棚に積載していたところバランスを崩して荷物が落下した際に、近くにいた作業員に当たりそうになるケースがあります。
フォークリフトの積載可能容量を超えた状態や荷物をしっかりと固定していない状態、また急ブレーキや急旋回など不適切な運転をした場合には荷崩れ・落下が発生しやすくなります。
ブレーキが効きにくい状態で運転し荷崩れを引き起こしそうになった
フォークリフトの整備・点検不良が原因で発生する事例です。ブレーキが効きにくいと制御が難しくなり、荷崩れや接触事故のリスクが高まります。
日常的な点検が徹底されていない現場や、時間的余裕がなく異常を感じていても作業員が運転を続けることが多い現場などで起こりやすいヒヤリハットです。
フォークリフトの事故事例
フォークリフトは重量があるため、接触や衝突により大事故が発生する可能性があります。
厚生労働省の資料※では、フォークリフトの事故事例として以下の5つが挙げられています。
後進したフォークリフトと激突
加工ラインで製品をかごに入れていた作業員Aが、停車してあったフォークリフトを運転してかごを移動させようとしたところ、作業員Bに接触した事故です。
作業員Aが普段は行っていないフォークリフトの運転を行ったことや、後方確認をせずに後進したことなどが原因として挙げられています。
対策としては、フォークリフト運転者の氏名をフォークリフトに掲示し、特段の理由なくほかの者が運転しないようにすることや、フォークリフトを降りた状態で走行方向を確認することが効果的です。
フォークリフトとの接触や衝突による被害を軽減させるには、クッション類を設置することも有効です。
危険表示とクッション機能で人や建物を保護するマグネットタイプのクッションはこちら
マストを上げたまま後進して建物に接触
作業員Aがフォークリフトで後進していたところ、マストを上昇させたまま走行させたため、マスト上部が建屋の屋根に接触し、急停止。その反動でAの体が運転席から投げ出されて左肘を地面に強打した事例です。
マストが下がっているかの確認を促していなかったこと、普段からマストを上げた状態で走行することがあったことなどが原因として挙げられます。
マストが一定以上の高さに上がった状態では警報音が鳴るように変更したり、マストにペンキで色付けし、上昇していることがわかるようにしたりするなどの対策が必要です。
フレコンバッグをかけた状態でトラックが発進
倉庫からフレコンバッグを出荷するために、フォークリフトのフォークで直につり上げてトラックに積み込み、運転手Aが後方確認を行わずにトラックを発進させてフォークリフトごと転倒した事例です。
フォークで直につり上げるという用途外使用をしたことや、トラック運転手とフォークリフト運転手の間で合図を決めておらず、意思疎通ができていなかったことなどが原因です。
専用のフックの使用や、トラックのクラクションに対し、フォークリフト作業者が周辺状況を確認してから合図として笛を鳴らすなどの対策が求められます。
パレットからの墜落
倉庫の棚2階(2m弱)から荷物を取る際にパレットに労働者Aを載せてフォークを上昇し、Aがパレットから降りる際に足を踏み外した事例です。
パレットに人を載せてフォークを上昇させるという用途外使用をしたことや、棚の端(通路)に荷が置かれており、1階からでなければ作業できなかったことなどが原因として挙げられます。
用途外使用を行わないこととし、巡視の点検項目に追加するようにしたうえで、2階の荷を整理し、2階の安全な位置から荷降ろしできるようにする対策が効果的です。
スロープに停車させたフォークリフトが転倒
オペレーターAがフォークリフトから離れたあと、フォークリフトがゆっくりと後退。Aが運転席に飛び乗ってハンドルに手をかけたところ、フォークリフトが転倒して下敷きとなった事例です。
荷を積んだフォークを上げたままAが運転席から離れたことや、運転席から離れる際にエンジンを止めず、サイドブレーキをかけていなかったことなどが原因として挙げられます。
対策としては、運転席から離れる場合はフォークを地上につけるよう再教育することや、エンジンの停止やサイドブレーキの操作を運転席の見やすい位置に明示することなどが効果的です。
フォークリフト事故の主な原因
運転者の操作ミス
ハンドルの操作ミス、レバー操作の誤り、アクセルとブレーキの踏み違え、急な発進などにより転倒や衝突事故が引き起こされることがよくあります。操作に習熟していない経験の浅い作業員の場合、特にミスが発生しやすいです。
また、操作に慣れている作業員がスピードを出し過ぎたり、急旋回、急停止などの無理な運転を行ったりすることも事故につながります。
不注意・確認不足
作業員同士の連携や安全確認が不十分であり、お互いの動きや状況を把握せずに作業を続けた結果、衝突事故が発生することがよくあります。バック走行時や見通しの悪い曲がり角、出入口付近では特に一時停止や安全確認を徹底することが重要です。
指差し確認の必要性を一目で認識させる路面標示を施し、確認不足を解消する対策も効果的です。
すべり止めを兼ねた路面標示ノンスリップシートはこちら
視界の遮られ
高く積まれた荷物や前方のマストが死角となり、視界を遮ることが原因で事故が発生することがよくあります。特に前進走行時に高さのある荷物を運ぶと、視界不良で死角が多くなり、壁や他の荷物、人との衝突リスクが高まります。
荷重の不均衡
積載物の固定が不十分であったり、荷物の積載可能容量をオーバーしていたりするとフォークリフトが転倒することがあります。
また、荷物を高く積み上げている場合や、積み付けや荷重の分配が不適切な場合にもバランスを崩しやすくなります。
障害物や天候などの環境要因
悪天候で濡れた路面や凹凸・段差が多い路面、障害物が多く狭い通路など、現場の環境が悪い場合にスリップや転倒、接触のリスクが高まります。環境条件に応じて適切な運転をしていないと、より事故が発生しやすくなります。
ヒヤリハットを事故にしないためのポイント
ヒヤリハットを事故にしないためには、中長期的な対策とすぐにできる対策の両方に取り組む必要があります。
中長期的に取り組むべき対策
・定期研修
フォークリフトの運転者に対し定期的な安全教育や技能向上のための研修を実施することで、ヒューマンエラーの発生を抑えることができます。
過去のヒヤリハット事例を共有し、具体的な改善策を学ぶ機会を設けることも重要です。
・点検
フォークリフトの故障や不具合を未然に防ぐためには、日常点検や定期的な整備を徹底することが不可欠です。
特にブレーキやタイヤの状態を確認し、安全に操作できる状態を維持します。
・安全装置導入の検討
フォークリフトに衝突防止センサーやバックモニターなどの安全装置を導入することも効果的です。
例えば、作業員や周囲の状況を検知できる衝突防止用のセンサーや警報システムを搭載することで、接触や衝突事故のリスクを軽減できます。
衝突防止センサーには反射板や反射テープに反応するセンサーもありますが、機種によっては暗い場所や光量が不足している環境では反応しづらいことがあるため、反応精度を上げる高輝度テープを活用することがおすすめです。
従来の反射テープより反射輝度が10倍以上優れている軟質高輝度プリズム反射テープはこちら
すぐにできる対策
・作業環境の整理整頓
作業環境の整理整頓は、すぐに実施できる基本的な対策です。障害物を極力排除し、安全な作業スペースを確保することで事故の防止につながります。
また、通路や作業エリアを常に清潔に保つことで、フォークリフトを安全かつ円滑に運転できるようになります。
・障害物の視認性向上
フォークリフトの運転中は死角が生まれやすく、特に視認性の悪い場所では障害物に気付きにくいため事故のリスクが高まります。
そこで、障害物を位置や状況を把握しやすくするために反射板を設置し、視認性を向上させることが効果的です。特に視界が悪い場所では、反射材や明るい色のマーキングを活用することで安全性を高めることができます。
視認性の向上には蓄光テープの活用が効果的です。
蓄光テープを貼り付ける箇所については、こちらの資料にて詳しく解説しています。
フォークリフト事故対策は日東エルマテリアルの防災対策ソリューションで
日東エルマテリアルでは、安全・衛生・防災対策のための多様なソリューションを提供しています。
フォークリフト事故対策に活用できるものとしては、反射板や蓄光テープ、保護クッションや路面標示シートなどがあります。例えば、高輝度蓄光テープ エルクライト™は、蛍光灯や太陽光などの光を蓄えて暗闇で発光することで目印となるテープであり、高い輝度で現場環境の視認性を高めることでフォークリフト事故の防止に役立ちます。
日東エルマテリアルの防災対策製品はこちら
また、フォークリフトの事故防止のための蓄光テープは日東エルマテリアルの蓄光テープ エルクライト™をお選びください。
お役立ち資料

カタログ資料
