「在宅避難」の判断の基準は?注意点と備えるべきポイント
自然災害の規模や被災状況等によっては、避難所ではなく自宅に避難する「在宅避難」が選択肢となります。在宅避難には避難所とは異なるメリットやデメリットがあり、災害の状況を踏まえた上でどちらを選択するか判断する必要があります。本記事では、在宅避難の判断基準やメリット・デメリット、在宅避難に備える場合のポイントなどを解説します。
在宅避難とは
在宅避難とは、災害発生時に避難所ではなく自宅で避難生活を送ることです。自宅の被害がない、または軽微であり、自身や家族にも怪我がない場合には在宅避難を選択するケースがあります。
特に、大規模な災害が発生して避難所に多くの人が殺到することが予想されるケースや、近隣で洪水が発生しているなど、避難所にたどり着くまでの経路が非常に危険なケースでは在宅避難が推奨されます。
在宅避難について
総務省の資料によると、首都直下地震や南海トラフ地震など大規模災害が発生した場合、避難所以外(自宅)で過ごす避難者が非常に多く発生するとされています。
たとえば首都直下地震においては、避難所外避難者の数は発災 1 日後で約120万人、2週間後で約430万人、1か月後で約280万人と推計されており、南海トラフ地震では発災 1 日後で約130万人、1週間後で約210万人、1か月後で約280万人と推計されています。
在宅避難の判断基準について
■ハザードマップとは
「ハザードマップ」とは、自然災害による被害が予測される地域や危険度などを示した地図のことです。
国土地理院は、一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」と定義しています。
■避難行動判定フローについて
災害発生時にとるべき避難行動については、ハザードマップとともに「避難行動判定フロー」を確認することも重要です。
避難行動判定フローは、居住する地域の災害発生リスクや住居条件などを踏まえて、とるべき避難行動を示したフローのことです。たとえば、「ハザードマップで自宅のある地域に色が塗られていれば避難所に向かう」といったように、条件に応じてどのような行動をとれば良いかが一目でわかるようになっています。
「在宅避難」の推奨例
災害が発生した際には、避難所に避難すべきか、もしくは在宅避難を選択すべきか迷うケースもあります。総務省では、「在宅避難」を推奨している自治体の例を以下の通りいくつか示しています。
・避難者抑制のため、自宅が無事な者は避難所への避難を控え、自宅で避難生活を送ることを原則としている。
・自宅に被害がない又は軽微な被 害で、安全性や機能面で問題がない世帯はできるだけ在宅生活(避難生活をしない)としている。
・災害発生時は、自宅の倒壊や火災により寝泊まりするところが無くなった方以外は、可能な限り在宅避難をするよう呼び掛ける。
・避難所は自宅が被災して生活ができない者の生活支援を行う場となるので、地震発生直後から、自宅の倒壊や火災による危険がない場合は、避難所の混乱を防止するため、在宅避難を周知する。
出典:総務省「避難所開設期における避難所外避難者の把握・支援等」
在宅避難・避難所生活のメリット・デメリット
在宅避難と避難所生活には双方にメリット・デメリットがあり、災害発生時に避難場所を選択する際には、災害の状況に加えて以下のメリット・デメリットを踏まえて判断する必要があります。
在宅避難のメリット・デメリット
メリット
在宅避難では、プライバシーが保護されているため心理的安全性を確保でき、生活空間が普段と変わらないためストレスを感じにくく、生活環境をコントロールしやすいメリットがあります。
特に、小さな子供や高齢者、あるいはペットがいる場合には、避難所生活でストレスを感じやすく体調を崩す可能性が高いため、在宅避難の方が過ごしやすいケースもあります。
デメリット
一方でデメリットとしては、停電や断水が起きた場合にライフラインを確保できない点が挙げられます。また、生活物資・支援物資は避難所で配布されることが一般的であるため、物資が不足するリスクもあります。避難所に比べ、災害情報の伝達が遅れやすいこともデメリットです。
避難所生活のメリット・デメリット
メリット
避難所生活の大きなメリットは、食料をはじめとする生活関連物資の配布があることです。また、災害の発生を想定して避難所として指定されているため、災害の影響を比較的受けにくいメリットもあります。
デメリット
一方で、避難所生活では見ず知らずの人と非常に近い距離で集団生活を送らなければならないため、避難者同士でトラブルが発生したり、プライバシーが確保できず精神的にストレスを感じたりするデメリットがあります。
また、災害の規模や支援状況によっては、避難所だからといって必ずライフラインや生活物資を確保できるわけではないことにも注意が必要です。
在宅避難時における必要な備蓄やポイント
在宅避難をする場合には、何よりも防災用品等の備蓄が不可欠です。必要な備蓄や生活環境を整えるために押さえておきたいポイントをご紹介します。
非常用備蓄チェック項目
・食料および飲料水
最低でも家族の人数×3日分、可能であれば1週間分は用意しておく必要があります。
・カセットコンロ
カセットコンロがあることで、停電時に調理ができます。カセット用のガスボンベの備蓄もしておく必要があります。
・モバイルバッテリー
スマホで情報を得るために、モバイルバッテリーも必須です。
・懐中電灯と電池
停電時の明かりの確保として必須です。LEDライトのランタンなどもあると良いでしょう。
・簡易トイレ
断水した場合にも衛生的に過ごすために必要です。
最低限の生活環境を整えるために押さえておきたいポイント
災害が発生すると停電のリスクが高まります。その際に上記でご紹介したようなガスコンロや懐中電灯、モバイルバッテリー等だけでは心もとないのも事実です。
そこで、非常用電力を確保することが重要になります。非常用電力があることで、停電時にも明かりを確保でき、調理や冷蔵庫での食料の保存、テレビでの情報収集、スマホへの充電などもできるようになります。
非常用電力を活用する際には以下の設備が役に立ちます。
・太陽光パネル
停電により電力会社から電力が供給されない場合には、自家発電により電力を確保する必要があります。その場合再生可能エネルギーが選択肢になりますが、自宅での利用に最も適しているのが太陽光です。そのため、非常用電力を活用するのであれば、多くの場合太陽光パネルの設置が必要となります。
・蓄電池
太陽光パネルとあわせて蓄電池も導入することで、昼間太陽光で発電した電力を溜めておき、夜間に使うことが可能です。
・電気システム
蓄電池は非常に役立つとはいえ、本体価格が高価であり工事費もかかるデメリットがあります。そこで電気システムを導入することで、比較的コストを抑えながら非常用電力を確保できるようになります。EV等のエコカーから給電することも可能です。
太陽光パネルや蓄電池、電気システムを導入することで、在宅避難の際に停電が発生していても最低限必要な電力を確保できます。
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日東エルマテリアルの「スマートエルラインライト」は、低予算で導入可能なエコカー(EV,HV,PHEV)や太陽光発電、発電機から住宅へ電気を供給できるシステムです。
電気自動車をはじめハイブリッド車、太陽光発電、蓄電池すべてから給電できるため、災害・停電発生時でも、生活に最低限必要な電力を確保できます。また、車のACコンセントや発電機の場合、電源と屋外BOXをつなぎ、スイッチを押すだけの簡単操作で給電が可能です。
お役立ち資料
リフォーム提案に組み込むべき停電対策