太陽光発電の設置義務化はいつから?
メリットや補助金について解説

2024年4月16日
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東京都では2025年4月から住宅への太陽光パネルの設置が義務付けられ、京都府や神奈川県川崎市など、全国の自治体でも同様の義務化の取り組みが進んでいます。こうした流れは今後も全国に波及する可能性があり、住宅を新たに購入する際には、太陽光発電のメリットやデメリットを押さえておく必要性が高まっています。そこで本記事では、太陽光発電の設置義務化の動向や、太陽光発電のメリット・デメリット、活用できる補助金について解説します。

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太陽光発電の設置義務化


東京都では、2025年4月から太陽光パネルの設置を義務化する新たな制度が始まります。本章では、太陽光パネルの設置義務化の背景や、対象となる物件、義務化に取り組んでいる東京都以外の自治体について解説します。

なぜ東京都で太陽光パネルが設置義務化されるのか

CO2

地球温暖化をはじめとする気候変動が世界的な課題となり、温室効果ガス排出削減が強く求められている中、2015年に採択されたパリ協定では、すべての国が温室効果ガスの削減に取り組むことが決定されました。パリ協定の採択を受けて、日本では2030年までに温室効果ガスを46%削減することを目標として掲げています。

こうしたことを背景に、東京都では、都内の温室効果ガス排出量を2030年までに半減させる「カーボン・ハーフ」の実現を目指しており、温室効果ガスの排出量の約7割が建物に起因していることから、温室効果ガス排出削減のために太陽光パネルの設置義務化が決定されました。

義務化の対象物件

中小規模建築物

現在、東京都では延床面積2,000㎡以上の大規模新築建物を対象とした建築物環境計画書制度の運用が行われています。新たに太陽光パネルの設置義務化で対象となるのは、2025年4月以降に建築される延床面積2,000㎡未満の中小規模新築建物です。なお、既存の住宅は対象外です。また、屋根の面積が小さい場合や、屋北向きであるなどの条件によっては設置しない建物もあります。
ハウスメーカー等の事業者が太陽光パネルの設置義務を負うこととなっており、家を建てる際にハウスメーカーや工務店から太陽光パネルの性能や設置に関して説明を受けることとなります。

東京都以外の自治体での設置義務化の状況

東京都以外の自治体でも、太陽光パネルの設置義務化を進めているところがあります。

京都府
京都府は2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目標としており、その実現に向けて、建物への太陽光パネル設置の普及を進めています。
具体的な取り組みとして、2021年4月に条例が改正され、延床面積が300㎡以上の建築物について、太陽光パネルの設置が義務付けられました(2024年4月1日施行)。

・神奈川県 川崎市

神奈川県川崎市でも、温室効果ガス削減や再生可能エネルギー利用拡大を目指した取り組みが進められています。川崎市では2023年3月、戸建て住宅を含む新築建物に太陽光パネルの設置を義務づける条例改正案が市議会で可決し、2025年4月より新築住宅に太陽光パネルの設置が義務化される予定です。
川崎市も、東京都や京都府と同様に、延床面積を基準に太陽光パネルの設置が義務化されます。

・群馬県
群馬県では、2050年までに様々な災害や環境問題の解決に向けて「ぐんま5つのゼロ宣言」を発表しており、その取り組みの1つとして「特定建築主による再生可能エネルギー設備の導入義務付け」があります。
これは、延床面積2,000㎡以上の建築物を新築、増築又は改築しようとする者(特定建築主)に、再生可能エネルギー設備の導入を義務付ける内容です。

太陽光発電のメリット

太陽光発電には、以下のようにさまざまな導入メリットがあります。

電気代が削減できる

節電

太陽光発電では、発電した電気を自家消費し、余った分は電力会社に売電する仕組みが一般的です。自家消費すれば、その分電力会社から購入する電力が少なくなるため、電気代削減につながります。日照量の多い地域や広い設置面積を確保できる住宅であれば、より多くの電気代削減効果が見込めます。

売電収入が得られる

一般家庭と電力会社

前述の通り、太陽光発電では、自家消費しきれなかった余剰分の電気を電力会社に売ることができます。売電価格は、再生可能エネルギーの普及を促進するために導入された「固定価格買取制度(FIT)」に基づいて決められており、一定の期間にわたり固定価格で買い取ってもらえます。

なお、2024年現在のFIT価格は、10kW未満の住宅用太陽光発電システムでは16円/kWh(税抜)、10kW以上の産業用太陽光発電システムでは12円/kWh(税抜)です。なお、買取期間は、10kW未満の太陽光発電の場合は10年間と定められています。
売電_1KWHあたり調達価格と基準価格
※参考:資産エネルギー庁

電気代高騰の影響を受けにくい

自然エネルギー

現在、国内の電力構成は火力発電が約7割を占めています。火力発電は石油や天然ガスなど化石燃料をエネルギー源としており、日本はその大部分を輸入に頼っているため、外的要因によるエネルギー価格の高騰が電気代に反映されやすい構造です。
実際に、近年は地政学的リスクの高まりによるエネルギー価格の上昇や円安等の要因により、電気代が高騰しています。また、東日本大震災以降、原子力発電の稼働率が低下していることも電気代の上昇に影響を与えています。

一方で、太陽光発電は自然のエネルギーを利用して自家発電するため、こうした外的要因によるエネルギー価格の変動に左右されにくい特徴があります。これにより、電気代が高騰しても家計への影響を抑えることができます。

災害時や停電時でも電気が使用可能

太陽光発電_自立運転

太陽光発電システムには、災害時や停電時に送配電網との接続が絶たれても稼働する「自立運転」が可能なものも多くあります。
自立運転を行うには、蓄電池やバックアップ機能を持つインバーター(直流または交流から、周波数の異なる交流を発生させる電源回路)が必要ですが、これらを用意することで、災害時や停電時でも自家発電した電気を使うことが可能です。太陽光発電を通じて生活に必要な家電製品を使用できるため、停電からの復旧を待つ間、生活が著しく不便になることを防げます。

再エネ賦課金を削減できる

節税する女性

太陽光発電を行うことで、再エネ賦課金を削減できることもメリットの1つです。
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、バイオマスなど)による発電を促進するための制度であり、再生可能エネルギーの買取費用を賄うため、毎月の電気料金に賦課される負担金のことです。

再エネ賦課金は、電力使用量が大きいほど金額が高くなりますが、自家発電した電気に対しては課されません。そのため、太陽光発電システムの導入によって、再エネ賦課金の負担額を削減できます。

補助金を使える場合がある

太陽光_補助金

太陽光発電の導入に対しては、補助金を交付している自治体が数多くあり、それを活用することで導入費用を抑えることができます。
補助金の上限金額や補助割合などは申請先の自治体や時期などによって変わりますが、一般的には太陽光発電システムの設置費用のうち、数万円~数十万円程度を補助してもらえます。また、蓄電池などの関連設備を導入する際に活用できる補助金もあります。

太陽光発電のデメリット

一方で、太陽光発電には以下のようなデメリットもあります。

設置費用が高い

太陽光発電を導入する際には多くの初期投資費用がかかります。導入規模によって費用は変わりますが、100万円以上の設置費用がかかることが一般的です。

経済産業省の資料(「令和5年度以降の調達価格等に関する意見」)によれば、2024年の住宅用太陽光パネルの設置費用は1kWあたり25.5万円と想定されています。
一般的な住宅における太陽光パネルの設置容量は、およそ3kW〜5kWであるため、設置費用の相場は以下のようになります。

太陽光発電初期費用の相場_3KW76.5万円_4KW102万円_5KW127.5万円

発電量が天候に左右される

雨

太陽光発電は太陽光を利用して電力を生み出す仕組みであるため、天候や季節によって発電量が変動します。曇りや雨の日などの天候不順な日には発電量が低下し、電気代削減や安定した売電収入といったメリットを受けにくくなります。
特に、年間を通じて日照時間が短い地域は想定したメリットが得られない可能性があるため、注意が必要です。

メンテナンスが必要になる

メンテナンス業者

太陽光パネルやパワーコンディショナー、さらにケーブルや架台、キュービクルなどの関連機器は、部品交換や点検など定期的なメンテナンスが必要です。太陽光パネルは屋外に設置するため、砂埃や黄砂、鳥のフンなどで汚れやすく、汚れを放置したままだと発電効率が落ちたり故障の原因になったりします。

定期的にメンテナンスを行い、発電量を計測することで、発電量の低下を把握できるため、効率的に運用し続けることができます。太陽光パネルを設置する際には、メンテナンスを定期的に行ってくれる業者を選定すると良いでしょう。

設置が向いていない家もある

狭小住宅ビル群

屋根の向きや面積、周囲の建物や樹木の影響などにより、太陽光パネルを設置するのに適していない場合があります。その場合、発電量が低下する可能性や、そもそも設置できない可能性があります。

新築時であれば、太陽光パネルの設置を前提に設計するためこうしたデメリットは受けにくいですが、既存の住宅の屋根に設置する場合には、事前に設置が可能か、あるいは設置に向いているか確認が必要です。屋根の向き、面積、周囲の環境だけでなく、住宅の構造や屋根の材質などによっては太陽光パネルの荷重に耐えられないケースも考えられるため、その点も事前に確認しておきましょう。

確定申告、固定資産税が必要になるケースもある

太陽光発電により得た収入は、確定申告が必要になるケースがあります。
例えば、太陽光パネルを自身が経営する賃貸住宅に設置して売電して所得を得た場合、不動産所得として確定申告する必要があります。また、法人や個人事業主が売電収入を得たときには、事業所得として確定申告が必要です。

加えて、太陽光発電設備は減価償却の対象となる償却資産になるため、固定資産税の納税義務も発生します。固定資産税額は一般的に、固定資産税評価額に1.4%をかけることで算定されます。

太陽光発電の補助金

補助金_助成金

太陽光発電の導入に対しては各自治体が補助金制度を設けており、これを活用することで導入費用を抑えることが可能です。ただし、自治体によって制度は異なり、補助金事業を実施していない自治体もあります。また、補助金の事業には予算が決められており、上限に達すると申請の受付がストップします。
申請の時期も決まっているため、事前にお住まいの自治体のホームページを確認し、申請期間や条件、必要書類などの情報をチェックしておくことが必要です。

太陽光発電への補助金は、都道府県だけでなく市町村単位でも行っています。例えば東京都では、都が実施する「令和5年度 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」のほか、独自の施策を行っている市区町村があります。具体的には、新宿区では10万円/kW(上限30万円)、港区では20万円/kW(上限80万円)の補助金を受けることが可能です。

まとめ

ご紹介したように、太陽光発電の設置を義務づけている自治体はすでにいくつかありますが、環境意識の高まりやSDGsの取り組みが加速する中、太陽光発電の設置を義務化する自治体は今後も増えていくことが予想されます。また、自然災害が激甚化・頻発化していることを背景に防災対策意識が高まっており、防災対策として役立つ太陽光発電が注目されています。
ただし、太陽光発電を設置したとしても、使いたいときに使えないのでは意味をなさないため、定期的なメンテナンスや初期設定を行うことが重要です。

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