太陽光発電の仕組みや種類、設置場所などの基礎知識について解説

2024年7月8日
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環境意識の高まりや技術革新によるコスト低下などを背景に、太陽光パネルを設置するご家庭が増えています。太陽光発電の導入を成功させるためには、発電できる電力量やパネルの種類ごとの特徴、導入費用などを踏まえたうえで最適なものを選ぶことが大切です。本記事では、太陽光パネルの仕組みや種類、また種類ごとに適した設置場所などの基礎知識を解説します。

太陽光発電の仕組みや種類、設置場所などの基礎知識について解説 太陽光発電の仕組みや種類、設置場所などの基礎知識について解説

太陽光発電とは

太陽光発電の仕組みや種類、設置場所などの基礎知識について解説

太陽光発電とは、太陽光エネルギーを電気に変換する発電方法であり、再生可能エネルギーの1つです。太陽光パネル(太陽電池モジュール)と呼ばれる装置に太陽光が当たることで、パネル内の半導体材料が光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する仕組みです。

二酸化炭素(温室効果ガス)を出さない発電方法であり、クリーンで持続可能なエネルギー源として注目され、近年急速に普及しています。日本において政令で定められている再生可能エネルギーの1つでもあります。
発電した電力は自家消費に使われるほか、余剰電力を電力会社に販売し、収入を得ることも可能です。

普及している背景

太陽光発電が国内で急速に普及した背景としては、主に以下の3つの要素が挙げられます。

1, 固定価格買取制度(FIT)の導入
2012年に導入されたFIT制度は、太陽光発電で発電した電気を電力会社が一定価格で買い取る制度です。この制度により、一般家庭や事業者は投資コストを回収できる見通しが立ちやすくなり、太陽光発電の導入が一気に加速しました。

2, 技術革新とコストダウン
太陽光発電の技術革新が進んだことで、発電効率が高まり、設備費や工事費が大幅に低下しました。2010年頃と比べると、太陽光パネルの価格は約10分の1まで下がっていると言われています。特に、太陽光パネルの価格が継続的に下がったことが、システム全体のコスト低減に寄与しました。これにより、初期投資の負担が軽減され、太陽光発電がより身近な存在となったことで、導入を検討する家庭や事業者が増えました。

3, 環境問題への意識の高まり
地球温暖化対策をはじめ環境問題への意識が高まっており、SDGsに代表されるように持続可能な社会の実現に向けた取り組みが世界的に加速しています。こうした背景から、再生可能エネルギーの1つである太陽光発電に注目が集まるようになりました。太陽光発電は、二酸化炭素を排出せずに発電できるため、環境負荷の低いエネルギー源として期待されています。 

上記に加え、政府による太陽光発電投資への補助金や融資制度の拡充や、太陽光発電に関する情報発信の増加、環境意識の高い企業による太陽光発電の導入といった要素も普及を後押しています。

近年では、FIT制度の改定や電力自由化の影響を受け、太陽光発電の市場環境は大きく変化している状況です。このような変化がありながらも、環境問題への意識の高まりや技術革新により、今後も太陽光発電は成長市場として期待されています。

太陽光発電の導入メリットについては、以下の記事で解説しています。

太陽光発電の仕組み

以下では、太陽光発電のシステム構成や発電できる電力量について解説します。

太陽光発電のシステム構成

太陽光の仕組み

太陽光発電システムは、主に太陽光パネル、パワーコンディショナー、接続箱のほか、ケーブルや架台といった部材で構成されています。
周辺機器としては、出力制御ユニットや、太陽光発電と組み合わせて使用可能な蓄電システムがあります。

・太陽光パネル
太陽光パネルは、太陽光を集めて電気を作るために必要なパネルであり、主に住宅やオフィス、工場などの屋根に設置されています。太陽光パネルには「セル(太陽電池)」が並べられており、セルが多いほど多くの太陽光を吸収できるため、発電量が増えます。

・接続ユニット
接続ユニット(または接続箱)は、太陽光パネルで発電した直流電力(DC)をパワーコンディショナーへ送るための重要な装置です。雨にさらされないように、屋外のメンテナンスがしやすい場所に取り付けるのが一般的です。
過電流や短絡などのトラブルからシステムを保護するための機能を持ち、故障のリスクを低減させます。
また、太陽光パネルを複数設置するとパネルごとの発電量が均一にならないため、電圧差を調整して電力ロスを減らす「昇圧機能」を搭載したものもあります。

・パワーコンディショナー(太陽光発電用)
パワーコンディショナーは、発電した電気を家庭で使うのに必要不可欠な機器です。太陽光パネルで発電された電気は直流の状態ですが、このままでは使用できません。そこで、直流電力を電力会社から送られてくる電気と同じ交流(AC)に変換する必要があり、パワーコンディショナーがその役割を担っています。
また、発電した電力を、電力会社から受電する電力と接続したり、停電時に発電システムを安全に止めたりする「系統連系保護装置」という機能が搭載されたものもあります。

分電盤(太陽光発電用)
パワーコンディショナーで変換された電気を施設全体に分配し、安全に管理しつつ家庭内で使用できるようにするため機器です。通常、一般家庭には分電盤が設置されていますが、太陽光発電システムを設置する場合には専用のものへと交換または増設することが必要です。
分電盤には、過電流保護のためのブレーカー(遮断器)が設置されており、これにより、過電流や短絡が発生した場合に回路が自動的に遮断され、火災や設備の損傷を防ぎます。
また、パワーコンディショナーと接続するための回路や、建物内で消費されなかった余剰電力を電力会社の配電網に送電する「逆潮流機能」などが搭載されています。

太陽光発電で作れる電力量

太陽光発電協会のガイドラインでは、太陽光パネル1kWの年間発電量は約1,000kWhとされています(設置角度30度・設置方向が真南の場合)。あくまでも目安ですが、参考にすると良いでしょう。

参考:太陽光発電協会|よくあるご質問「Q.太陽光発電により、家庭で使用する電気を全部まかなえますか?」

ただし、設置する地域の日照時間や季節、太陽電池の方位や傾斜角度により、発電量は変わります。パネルの定格出力やシステム効率、ほこりや花粉などによる汚れの有無も発電量に影響を与えることには注意が必要です。発電量がどのくらいになるか、事前にシミュレーションすることがおすすめです。

太陽光パネルの種類と特徴

太陽光パネルには、以下の3つの種類があります。

シリコン系

現在最も普及している種類です。ケイ素を原料としており、代表的なものとしては単結晶シリコンパネル、多結晶シリコンパネル、アモルファスシリコンパネルがあります。
発電効率が高い点や寿命が長い点が特長です。発電効率に関しては、単結晶、多結晶、アモルファスの順に高効率となっています。
一方で、価格が高い傾向があり、広い設置面積が必要な点はデメリットです。日当たりが良い場所、広い設置スペースがある場所に設置するのが適しています。

単結晶、多結晶、アモルファスそれぞれの特徴は以下の通りです。

単結晶シリコンパネル:
シリコン系太陽光パネルの中で最も発電効率が高いパネルです。価格は高価ですが、寿命が長く、設置面積が比較的小さいメリットがあります。

多結晶シリコンパネル:
単結晶シリコンパネルよりも安価ですが、発電効率がやや低く、設置面積も大きい点がデメリットです。発電効率には多少目をつぶっても、低コストで広大な敷地に設置したい場合には適しています。

アモルファスシリコンパネル:
シリコン系太陽光パネルの中で最も安価ですが、発電効率が最も低く、設置面積も大きいタイプのパネルです。その一方で、日陰でも発電できるメリットがあります。

化合物系

主に銅やセレンなどから構成されるパネルです。代表的な種類としては、CIGSパネル、CISパネルがあります。
シリコン系パネルよりも安価で軽量、柔軟性がある点などがメリットです。一方で、発電効率がやや低く、寿命が短い欠点があります。
日当たりが良い場所や狭い設置スペースしかない場所、軽量なパネルが必要な場所への設置が適しています。

CIGSパネルとCISパネルの特徴は以下の通りです。

CIGSパネル:
銅、インジウム、ガリウム、セレンで作られたパネルです。多結晶シリコンパネルよりも安価で、軽量、柔軟性があるというメリットがあります。発電効率は多結晶シリコンパネルと同程度です。

CISパネル:
銅、インジウム、セレンで作られたパネルです。CIGSパネルよりも安価ですが、発電効率がやや低くなります。

有機系

高分子ポリマー

有機分子やポリマーを使用した薄膜パネルです。非常に軽量で柔軟性があり、印刷技術を使用して低コストで大量生産できるメリットがあります。ただし、現状では実用化に向けて研究開発が進められている段階であり、発電効率が低い点や寿命が短い点は克服すべき課題です。

軽量なパネル設置が求められる場所や、曲面への設置が必要な場所への設置が期待されています。

太陽光発電の導入費用

初期費用

太陽光発電を導入する際の初期費用は、主に以下の3つの要素で決まります。

太陽光パネルの費用:
太陽光パネルは、種類や性能によって価格が異なります。一般的には、1kWあたり20万円~35万円程度です。

パワーコンディショナーの費用:
パワーコンディショナーは、太陽光発電で発電した直流電流を家庭で使える交流電力に変換する装置です。価格は、1kWあたり5万円~10万円程度となっています。

設置工事費:
設置工事費は、屋根の種類や形状、施工業者によって異なります。一般的には、1kWあたり7万円~10万円程度です。

経産省のデータによると、2023年の住宅用太陽光発電システムの設置費用は、新築では1kWあたり平均28.8万円とされています※。5kWのシステムを導入する場合、初期費用は約144万円です。

※出典:経済産業省「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」

初期費用以外にも、以下のような費用がかかります。

保険料:
太陽光発電システムには、火災保険や発電量保険などに加入する必要があります。費用は、年間数万円程度です。

解体費用:
太陽光発電システムを撤去する場合、解体費用がかかります。費用は、1kWあたり5万円~10万円程度です。

また、上記の費用以外に以下のようなランニングコストも考慮する必要があります。

発電量と電気料金:
発電量は、日当たりや設置場所、天候などの条件によって左右されます。発電量が多く、自家消費分を賄える割合が増えるほど電気料金を抑えられます。

メンテナンス費用:
一般的には、年間5万円~10万円程度のメンテナンス費用が定期的に発生します。

なお、一般的に太陽光発電システムは7~10年程度で初期費用を回収できると言われています。
太陽光発電を導入するかどうか検討する際には、初期費用、ランニングコスト、発電量、電気料金などを総合的に考慮し、費用対効果を検証することが大切です。

以下で、太陽光発電導入にかかる費用の内訳例を示します。

【5kWシステムの場合】

太陽光パネル: 100万円~175万円
パワーコンディショナー: 25万円~50万円
設置工事費: 35万円~50万円
合計: 160万円~275万円

上記はあくまで目安であり、実際の費用は状況によって異なります。

太陽光発電と相性の良い「スマートエルライン™ライト」

ここまで解説したように、太陽光発電はパネルを導入しただけでは電力を利用できず、パワーコンディショナーや分電盤などの設備が必要です。また、屋内パワーコンディショナーの場合、自立運転コンセントはパワーコンディショナーの側面についていますが、数が1つしかない場合が多く、家電など複数を同時に使用することが難しい課題もあります。

日東エルマテリアルが提供している「スマートエルライン™ライト」は、こうした課題の解決に役立ちます。
スマートエルライン™ライトは、太陽光発電で蓄えた電力やエコカーからの電力をすぐに使用できる給電システムであり、住宅に導入することで、停電時に太陽光発電経由で電気を使用できるようになります。最大1500Wまでであれば複数の家電を同時に使うことができ、屋内パワーコンディショナーの課題を解消可能です。
特に、停電時に自家発電が可能な太陽光発電との相性が良く、簡単施工かつ低コストで停電時に最低限の電気を使える自宅を実現します。

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