【蓄電池・ポータブル電源・V2H・太陽光発電・SLL比較】適した停電対策製品を選ぶには?

2024年4月8日
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地震などの自然災害時には停電が発生する可能性があり、停電に伴うリスクを避けるためには蓄電池や太陽光発電など停電対策製品を準備しておく必要があります。しかし、停電対策製品にはさまざまな種類があり、どれを選べば良いかわからない方もいるのではないでしょうか。本記事では停電発生時に役立つ製品について、それぞれのメリット・デメリットや選ぶ際のポイントを解説します。

【蓄電池・ポータブル電源・V2H・太陽光発電・SLL比較】適した停電対策製品を選ぶには? 【蓄電池・ポータブル電源・V2H・太陽光発電・SLL比較】適した停電対策製品を選ぶには?

停電対策の必要性

太陽光発電と蓄電池日本は電力供給体制が比較的安定しており、平時に停電が発生することは少ない国ですが、自然災害によって停電が発生するリスクは常に存在します。

国土交通省の調査によると、「自然災害は10年前と比べて件数が増加し、規模も大きくなっている」と感じている人が6割以上を占めていることがわかります※。近年は大規模な地震が発生しているほか、台風や豪雨などの災害が激甚化・頻発化していることを背景に、災害に対する危機感が高まっていると考えられます。

※出典:国土交通省「国土交通白書2021」
(第2節 災害リスクの増大や老朽化インフラの増加)

国土交通省「国土交通白書2021」
(第2節 災害リスクの増大や老朽化インフラの増加)

実際に、日本は地震をはじめとする自然災害のリスクに常にさらされています。世界のマグニチュード6.0以上の地震の約2割は日本周辺で起こっているとされており、北海道から九州まで、わかっているだけでも約2,000もの活断層があるほどです。

内閣府は、近い将来発生する可能性のある大地震を想定しています。特に、関東から九州の広範囲で強い揺れと大津波が発生するとされる南海トラフ地震と、首都圏を襲う首都直下地震は、今後30年以内に発生する確率が70%と、高い数字で予想されています※。

こうした発生確率の高い地震以外にも、全国各地で大きな地震に注意する必要があります。例えば、2016年4月に発生した熊本地震を引き起こした布田川断層帯のM7.0級の地震発生確率は、30年以内で1%未満でした。まだ発見されていない活断層もあるとされており、いつ、どこで大地震が起きてもおかしくありません。

※出典:国土交通省「国土交通白書2021」

このように、災害リスクが高い日本に暮らしている以上、災害への備えは不可欠です。
災害対策として、水や食料などの備蓄品の準備はすぐに行うことができますが、電気は発電施設や給電方法に依存するものであり、かつ暮らしに直結するライフラインであるため、災害対策の中でも「停電対策」の優先度は高いものであると言えます。

停電をすると起こること

停電が発生すると、生活が非常に不便になることはもちろん、停電が長引くと、最悪の場合生命が脅かされる事態にもなりかねません。以下では、停電時に発生するリスクを解説します。

冷蔵庫・冷凍庫が使えなくなる

腐った食料

停電時に冷蔵庫や冷凍庫が動かなくなると、冷凍庫や冷蔵庫内の食品の保存が難しくなります。特に長時間停電が続く場合や、気温の高い夏場に停電してしまうと、食品がすぐに腐敗して食中毒になるリスクが高まります。
災害時には、安全確保の面から在宅避難を選択するケースもありますが、食料が傷んで食べられなくなってしまえば長期間の避難は困難です。常温でも長期間保存がきく食料を準備しておくなどの対策をとっておく必要があります。

テレビ・ラジオが視聴できなくなる

災害時_テラビとラジオ

テレビやラジオは、災害時に情報を得るための重要な手段です。停電によりこれらの情報源が利用できなくなると、災害時の情報収集や正しい情報に基づく安全確保が困難になります。
インターネット回線が通じており、パソコンやスマートフォンのバッテリーが残っている間はそれらで情報収集できますが、SNSをはじめインターネット上には誤った情報が流れることも少なくないため、情報の真偽を慎重に見極める必要があります。

携帯電話などの充電ができなくなる

スマートフォン電池切れ

携帯電話・スマートフォンは緊急時の連絡手段や情報収集のツールとして重要ですが、停電により充電できなくなり、バッテリーが切れてしまうと通信が不能になります。通信手段が制限されるため、緊急時の連絡や救助活動への支障が生じます。
省エネモードで使用したり、こまめに電源を切ったりするなどの対策は重要ですが、電力が供給されない限りいずれバッテリーは切れてしまいます。停電時に備え、モバイルバッテリーなどを用意しておくと良いでしょう。

冷暖房が止まる

温度計_暑さと寒さの比較

停電により、エアコンやヒーター、電気ストーブなどの冷暖房設備が停止すると、室内の温度管理が困難になります。特に、冬場の停電では寒さによる低体温症のリスク、夏場の停電では熱中症にかかるリスクが増大し、最悪の場合、生命の危機にさらされてしまいます。
実際に、冬場の3月に発生した東日本大震災では、濡れた服を着たままで過ごしていた人が低体温症になり、死亡する事例がありました。

照明がつかなくなる

アイキャッチ_停電

停電により照明が使えなくなると、夜間や窓のない部屋などでの生活が非常に不便になります。地震で家具が倒れていたり、ガラスやモノが散乱していたりする場合、暗い中を移動すると怪我をするリスクがあります。
懐中電灯や防災用のランタンなど、電池で動く照明器具を用意しておくことはもちろん大事ですが、通常の照明器具に比べるとどうしても不便さが残ってしまいます。

水道が止まる

断水

一部の家庭では、停電により汲み上げポンプや浄水施設が停止することで、水道の供給が途絶えることがあります。水は生活に不可欠な要素であり、停電により水道が止まってしまうと、飲料水の確保に支障を来すほか、トイレや風呂などが使えなくなるために衛生上の問題を引き起こすおそれもあります。

水が使えないと命の危機に直結するため、停電と同時に水道も止まるリスクがある家庭では、備蓄用の水を多めに用意しておくなど対策を講じる必要があります。

停電対策製品の種類

災害対策の中でも優先度の高い「停電対策」ですが、停電時に役立つ製品にはどのようなものがあるのでしょうか。以下で主な停電対策のアイテムと、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

蓄電池

蓄電池

蓄電池とは、電気を蓄える機能を持った電池のことです。一般的な電池は使い切りのものが多いですが、蓄電池は充電すれば繰り返し利用できます。スマートフォンのバッテリーやEVなど、さまざまな用途で利用されています。

・メリット
①電気代を抑えられる
電気料金が比較的割安な時間帯に充電し、割高な時間帯に使用することで電気代を抑えることができます。

②自家消費が可能
FIT(固定価格買取制度)の買い取り期間終了後に売電単価が低下した場合でも、自家消費できるため発電した電気が無駄になりません。

・デメリット
①使える量に限りがある
貯めて使用できる電気量は、蓄電池の容量に制限されます。

②寿命がある
充放電回数には限りがあり、寿命を超えると蓄電容量が低下していくため、交換する必要があります。

③設置スペースが必要
使用できる電気量が多いほど蓄電池自体のサイズが大きくなり、設置スペースが必要になります。

ポータブル電源

アイキャッチ_ポータブル電源

ポータブル電源とは、手軽に持ち運びができるコンパクトな設計の充電器(バッテリー)のことです。モバイルバッテリーよりも大容量であり、出力端子・出力が異なります。出力端子としては、スマートフォンでよく使われるUSBポートのほか、一般的な電化製品についているコンセントに接続できるAC出力、さらに自動車内での電源としてよく使われているシガーソケットがついているものもあります。

・メリット
① 手軽に持ち運びができる
発電機と同様に、ポータブル電源はバッテリーを充電して稼働しますが、ポータブルというように持ち運びが可能なサイズになります。そのため、アウトドアで使用する方も多く、特にキャンプでの料理やアクティビティには、ポータブル電源があると非常に便利です。

② 緊急時の非常用電源として活用できる
ポータブル電源を準備しておけば、緊急時に非常用電源として利用できます。自然災害などで停電が起こり、電力会社からの供給が絶たれたとしても、電気機器に電力を供給できます。

・デメリット
① 値段が高くて使い道が少ない
ポータブル電源は値段が高く、使い道が少ないという難点があります。ポータブル電源本体の値段は、バッテリー容量や機能性によって変動します。高性能な製品だと50万円を超えるものもあり、使い道に対して費用が見合わないと感じるかもしれません。

② 発火の危険性がある
ポータブル電源を正しく管理しなかった場合、発火や漏電の危険性が伴います。高温や多湿の環境下での長期保管は、バッテリーに大きな負荷をかけ、危険性を増大させます。バッテリーの劣化は発火のリスクを高めるため注意が必要です。

③ 長期利用には充電が必要
災害などで停電した際、長期間利用する場合には、ポータブル電源本体を充電する必要があります。バッテリー切れを起こすと、ほかの電気機器に電力を供給することができません。

以下では災害時におけるポータブル電源の必要性や注意点などについて解説しています。災害時に「ポータブル電源」は必要?メリットや注意点、選ぶポイントについて解説

太陽光発電パネル

太陽光発電システム

太陽光発電は、太陽が持つ光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する方法です。ソーラーパネルを構成する太陽電池はシリコン半導体などでできており、それが太陽光と反応することで電気を発生させる仕組みです。後述のV2Hとあわせて導入することで、電気代節約の効果が期待できます。

・メリット
①電気代を削減できる
太陽光発電で発電した電気は自家消費できるため、電力会社から購入する電力量が少なくなり、その分電気代を削減できます。

②電力の販売が可能
FIT法により、太陽光発電を設置した年から10年間、一定の金額で電力を販売できます。

③停電時に活用できる
停電しても、太陽が出ていさえすれば発電ができ、電気を使用できるので災害時に役立ちます。

・デメリット
①設置コストが高い
3~5kWの太陽光発電を導入する場合、約80万~130万円ほどの予算がかかります。

②メンテナンスが必要
屋外に設置するため汚れが付着しやすく、定期的なメンテナンス(点検・部品交換など)が必要です。

③天候や季節によって発電量が変わる
曇りや雨の日は発電量が低下するほか、日照時間が短い冬季も発電量は落ちてしまいます。

④屋根の構造等によっては設置できない
屋根が太陽光発電設備の重さに耐えられない場合や、十分な設置スペースを確保できない場合は設置できません。

⑤いざ使用としたときに使えないことがある
停電時に自動で家庭内全体に電気を供給するモードに設定していないと、いざというときすぐに使えない可能性があります。

V2H

V2H

V2Hとは、EV(電気自動車)などエコカー内のバッテリーに蓄えられた電力を家庭に供給し有効活用すること、およびそのためのシステムのことです。近年のエコカーには大容量のバッテリーが搭載されており、エコカーの普及を背景として、バッテリー内の電力を有効活用する方法として注目されています。

・メリット
①EVを非常用電源として活用できる
V2Hは、家庭からEVという電気の流れだけでなく、EVから家庭へという双方向の電気の流れを実現しているため、停電時に家庭内へ給電できます。

②電気代節約の効果がある
時間帯によって電気料金が変わるプランで契約している場合は、電気料金が比較的安い時間帯に充電すると電気代を抑える効果が期待できます。

③EVへ急速充電可能
一般の充電設備に比べ、V2HはEVを比較的短時間で充電できます。

・デメリット
①設置の条件を満たす必要がある
V2Hを設置するには、自宅と駐車場が隣接している必要があるほか、十分な搬入経路やメンテナンス可能なスペースを確保する必要があります。

②単体で発電や蓄電を行えない
V2HはEVに充電した電気を供給する設備であるため、V2Hに対応したEVを保有していない場合は導入しても活用できません。

③高額な初期費用がかかる
V2H単体で100万円前後の初期費用がかかるほか、EVや太陽光発電の設備を含めると800万円ほどの導入コストがかかるため、住宅設備の予算が少ない方にとっては負担の大きい設備となる場合があります。

V2Hの詳細については、こちらの記事で解説しています。

V2Hとは?基本情報やメリット・デメリットをわかりやすく解説!

スマートエルライン™ライト

SLL(スマートエルライン™ライト)は、地震や台風等の災害による停電時に、エコカーや発電機等の屋外電源、太陽光から住宅へ電気供給が可能な給電システムです。

・メリット
①設置費用が安い
屋外コンセントなどのEV充電機と組み合わせることで、V2Hと比較して約3分の1のコストで住宅の給電と車両への充電が可能であり、簡易的なV2Hシステムとして機能します。

②設置が簡単
住宅や分譲マンションでも簡単に設置できます。

③停電時でも1500Wの電気を使用可能
冷蔵庫、照明、TV、Wi-Fi が使用でき、在宅避難も可能です。

④自動切換えが可能
停電時、普段使用しない分電盤のレバーを上げ下げする必要がなく、すべて自動での切り替えが可能です。設定していなかったためにいざというときに使用できない、といった事態になるのを避けられます。

・デメリット
①停電時、すべての電化製品を使用できない
合計5回路・1500Wまでしか電気を供給することができないため、すべての電化製品を使用することはできません。また、スマートエルライン™ライトは100V専用であるため、エアコン・電子レンジ・IHなど200Vの機器には対応しておらず、注意が必要です。

選ぶ際のポイント

前章で解説したように、停電対策製品にはさまざまな種類がありますが、その中で何を選べば良いのでしょうか。以下では、選定のポイントについて解説します。

電気の使用範囲の希望に応じて選ぶ

全負荷_特定負荷_比較

蓄電池は、停電時に家全体に給電できる「全負荷型」と、一部のみに供給する「特定負荷型」があります。「停電時でも普段通りに電気を使いたい」という方は全負荷型がおすすめです。一方、「本体サイズを小さくしたい」という方は特定負荷型が適しています。

容量や出力が大きいものにする

蓄電池サイズ比較

停電時に活用したいのであれば、容量と出力の大きい蓄電池を選ぶと良いでしょう。居住している人数が多い場合や、建物が大きい場合は、特に大容量の機器が必要です。

利用用途に応じた適切なサイズ(持ち運びやすさや設置可能なスペースがあるかなど)

災害発生時には、非常用電源を安全な場所で使用するために移動させる場合も珍しくありません。そのため、持ち運びしやすい重さやサイズであるかという点は確認しておきたいところです。

使用環境の幅広さ

発電機の騒音と煙

停電対策として非常用電源を選ぶ際には、さまざまな使用環境に対応しているかもチェックしておくことがおすすめです。例えば、インバーター発電機はガソリンを燃料にするため、稼働時に排気ガスや騒音が発生してしまうため、避難所などの屋内では使用できません。
一方で、防水性能が備わっているものでないと屋外での使用には適さないため、用途や使用環境に適したものを選ぶと良いでしょう。

メンテナンスの手軽さ

非常用電源は、いざというときに使用できるようメンテナンスをしっかりと行っておく必要があります。必要になった場合にすぐに使用できるよう、普段から手軽にメンテナンスできる製品がおすすめです。

予算

アイキャッチ_太陽光とEV車提案で悩む営業マン

停電対策製品には、太陽光発電やV2Hのように多額の導入コストがかかってしまうものもあるため、予算面での負担が大きくなりすぎないよう注意が必要です。

まとめ

今回は、停電対策の必要性から、停電対策しなかった際に起こること、停電対策製品について解説しました。停電対策製品は種類によって動作や設置費用が異なり、メリット・デメリットにも違いがあります。
家庭の状況や予算に合わせて、どの製品が適しているか検討しましょう。

住宅の停電対策製品の導入を検討しているお客様は、以下よりお気軽にご相談下さい。

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