太陽光発電の設置可能な場所は?
設置に適した条件や設置方法、
設置する際の注意点を解説
太陽光発電はクリーンな発電方法として普及しており、自宅の屋根に設置するケースも増えています。しかし、効率よく発電するためには設置場所の日当たりや屋根の傾斜、方角、形状など、さまざまな条件をよく検討する必要があります。
本記事では、太陽光発電の設置に適した場所の特徴や設置する際の注意点、屋根の形状ごとの設置方法などを解説します。
屋根や土地以外にも設置が可能
太陽光発電の設置場所としては屋根の上や農地や工場の敷地のような土地が一般的ですが、近年では屋根や土地以外の場所に設置するケースが増加しています。
代表的な設置場所は、カーポートや物置、住宅の外壁などです。これらの場所に設置することで空きスペースを有効活用でき、空き地のように十分な広さの設置場所がなくても太陽光発電を導入できます。
太陽光発電の設置に適した条件
現在ではさまざまな場所に太陽光発電が設置されていますが、太陽光発電の設置には場所によって向き・不向きがあります。
以下では、太陽光発電の設置に適した条件について解説します。
日光を遮るものがない
太陽光発電は太陽光エネルギーによって発電するため、日光が十分に長い時間当たる場所が適しています。例えば電柱や高層の建物、樹木などが近くにあると、影が生まれ発電量が大きく減ってしまう可能性があるため注意が必要です。
また、現在日光を遮るものがなくても、地域によっては将来的に高層ビルやマンション、商業施設などの建物が建設されることで、日照条件が悪くなってしまう場合があります。そうした場合、減少が見込まれる発電量に応じた損害賠償を獲得できる可能性がありますが、そうでないケースもあるため周辺地域の開発情報などもチェックしておくのがおすすめです。
傾斜が少ない
設置面の傾斜が少ないことも適した条件の1つです。傾斜のある場所では基礎を安定させにくく、土砂崩れのリスクも考えられます。一般的には、パネルそのものの傾斜が約30度であれば日の光が当たりやすく発電量が増えるため、望ましいとされています。
パネルの面が真上を向くほど傾斜がないと、かえって発電効率は落ちてしまいますが、その場合には架台である程度傾斜を調整することが可能です。
自然災害の影響を受けづらい
設置場所が自然災害の影響を受けにくいことも重要なポイントです。地盤の弱い土地では台風や大雨に見舞われた際に土砂崩れが発生したり、台風に伴う強風でパネルが破損したりする危険があります。また、海沿いの地域では海中の塩分が風に飛ばされてパネルや各種設備に付着する塩害のリスクがあり、故障を招く可能性があるため注意が必要です。
南向きに設置できる
太陽の光は南側から当たるため、南向きに設置することで最も効率的に発電できます。南面に設置した場合の発電量を100%としたときに、南西や南東面であればおよそ96%であるため十分な発電が期待できます。しかし、北面は日照量が少ないため発電量が60%ほどに低下し、太陽光発電との相性があまり良くありません。そのため、自宅や事業所の屋根がどの方向に向いているかを事前に確認することが重要です。
屋根の形状によっては太陽光パネルを一方の方角にしか設置できないケースもあるので、この場合、設置できる側が南向きかどうか確認する必要があります。
南向きに設置することが難しい場合は、折りたたみ太陽光パネルとポータブル電源を組み合わせて導入することも選択肢です。
正方形や長方形の屋根
太陽光パネルの設置には、正方形や長方形の屋根が適しています。こうした縦横に一直線の広がりを持つ形状の屋根では、パネルのレイアウトを比較的自由に調整でき、発電効率が高まるよう設置面積を最大限に活用できます。屋根の形状が規則的なほど設置作業が容易であり、設置後の外観がすっきりと見栄えの良いものになるメリットもあります。
反対に、屋根の形状が複雑な場合や面積が狭い屋根は設置工事に手間がかり、発電効率も落ちる可能性が高くなります。
屋根の形状に沿った太陽光発電の設置方法
以下では、屋根の形状ごとに太陽光発電を設置する際のポイントについて解説します。
切妻屋根
切妻(きりづま)屋根とは、屋根の最上部の棟から地上に向かって、本を伏せたように2つの傾斜面がある屋根です。最もよく見られる形状の屋根であり、片側の傾斜面が南側を向いている場合、その面にパネルを設置することで効率的に発電できます。
東西方向に屋根が向いている場合も発電効率が大きく落ちるわけではないため、周囲に日光を遮るものがなければ問題なく設置できます。
寄棟屋根
寄棟(よせむね)屋根とは、家の頂点部分から4つの方向に傾斜面がある屋根で、寄棟造(よせむねつくり)とも呼ばれます。4面のうち2面は台形型、残りの2面は三角形の形状をしています。4面の屋根で構成されているため、1~2面は必ず南を向く構造となっており、効率的な発電が期待できます。
片流れ屋根(南向きの場合)
片流れ(かたながれ)屋根とは、片側のみに傾斜面がある屋根のことです。一枚の大きな屋根板で構成されており、モダンでスタイリッシュな形状であることから近年人気があります。
屋根の傾斜面が南側を向いている場合、発電効率が高いため太陽光パネルの設置に適しています。実際に、新築では太陽光発電の導入を見込んで南向きになるよう設計している家も少なくありません。
しかし、南側以外の場合は他の方角を向いている屋根がないため、発電効率は大きく低下してしまいます。その場合、太陽光発電だけでなく、ポータブル電源などの蓄電地と組み合わせることを検討するのがおすすめです。
陸屋根
陸屋根(ろくやね、りくやね)とは、勾配がないフラットな形状の屋根です。傾斜面がないため太陽光パネルの設置工事がしやすく、メンテナンスも容易です。
しかし、雨が降ったときの排水性が悪く、雨漏りもしやすいので、設置工事の際には防水シートを使って雨漏り対策を行う必要があります。
無落雪屋根(スノーダクト)
屋根に積もった雪が落ちてこないように設計された屋根です。雪下ろしの手間を省くことができ、豪雪地帯でよく見られます。屋根の形がM字状のものや傾斜が小さい設計になっており、屋根に積もった雪をヒーターや太陽光で溶かす仕組みです。
太陽光発電との相性に関しては、主に積雪地域の設置が考えられるため、毎年の積雪量や日照量を考慮して設置するか検討した方が良いでしょう。
上記以外にも屋根の形状にはさまざまな種類があるため、太陽光パネルを設置する際には屋根の形状や傾斜面の方角、特徴などを踏まえて最適なものを導入することが大切です。
太陽光発電を設置する際の注意点
以下では、太陽光発電を設置する際の注意点について解説します。
太陽光パネルを設置するため一定の面積が必要
太陽光パネルの設置にあたっては、太陽光発電の設備容量に合わせて一定の設置スペースを確保する必要があります。
長方形の屋根で構成されている「切妻屋根」や「片流れ屋根」であれば、太陽電池容量当たり7倍~8倍の屋根面積が必要です。
例えば、10kWの太陽光発電の設置に必要な屋根面積は、約70㎡~80㎡となります。
太陽電池の設置基準は、国で基準が定められており、一般的には太陽電池の周りに300mmのスペースを確保する必要があります(太陽電池容量当たり7倍~8倍の屋根面積が必要というのは、この300mmスペースを考慮した数値です)。ただし、太陽電池の周りに300mmの離隔距離を設ければ、屋根材一体型の発電システムを設置できます。
なお、屋根が1階・2階で二重構造になっている「下屋根」タイプは、2階部分に隠れて面積を確保できない場合があり、発電効率が落ちます。それだけでなく、瓦が落ちて破損するリスクもあるため、避けるのが無難です。
屋根の耐荷重を考慮する必要がある
建物には耐荷重が設定されており、安全に設置するためにはこの耐荷重を考慮することが大切です。
一般に、太陽光パネルの重さは1枚あたり15kgほどです。100枚のパネルを使用する場合、屋根の上に約1,5tもの重量がのしかかることになるため、建物の耐震強度が弱まり、地震で損壊・倒壊するリスクが高まります。
また、積雪の多い地域では「雪対策」もしっかりと考慮して設置を検討する必要があります。具体的には、雪の重さも加味したパネルの耐荷重の想定や、積雪によって発電効率が落ちること、積もった雪が滑り落ちることによる事故のリスクなどを考慮しなければなりません。
補強工事のために費用が高くなる可能性がある
前述のとおり、太陽光パネル1枚あたりの重さは15kg程度であるため、屋根によっては重さに耐えられず破損してしまったり耐震性が落ちたりする場合があります。新築住宅に設置する場合などは補強工事費用が最小限で済みますが、後付けの場合は費用が高くなりがちです。
また、設置工事に伴い雨漏りが発生することもあります。太陽光パネルには「屋根一体型」と「屋根置き型」があり、一体型であれば雨漏りのリスクは小さいですが、屋根置き型の場合は屋根に穴を空ける工法をとる場合が少なくありません。
専門的なスキルやノウハウがない業者が施工を担う場合、コーキング材や防水シートを使った防水加工をしっかりと行わなかったり、設置後の屋根の劣化を放置してしまったりするケースもあり、雨漏りが発生しやすくなります。
一度雨漏りしてしまうと、パネル自体を外して穴を空けない方法で載せ直さなければならなくなる場合もあり、余計な費用がかかってしまいます。
太陽光発電を屋根に設置するまでの流れ
太陽光発電を屋根に設置するまでの大まかな流れは以下の通りです。
1. 現地調査から契約:
まずは設置場所の現地調査を行い、屋根の状態や日照条件、設置可能なスペースなどを確認し、適切な設置方法を検討します。現地調査の結果を基に、業者から設置プランと見積もりの提示を受け、契約を締結します。
2. 架台の設置からパネルの取りつけ:
次に屋根に架台を設置します。パネルの設置位置を正確に決め、屋根に下穴を開けて防水処理を施し、太陽光パネルを一枚ずつ運び、架台に取り付けます。
3. 周辺機器の設置:
パワーコンディショナーや分電盤などの周辺機器を設置します。これらの機器は電気工事を伴うので、必要に応じて一時的に停電して工事を行うことも考えられます。
4. 動作確認・引き渡し:
最後に、システム全体の動作確認を行い、正常に機能していることを確認します。問題がなければ、工事完了の報告とともにシステムの使い方やメンテナンス方法について説明を受けたうえで、引き渡しを行います。
太陽光パネルの設置はこうした流れで行いますが、補助金制度を申請する場合は工事着工の前に申請書類を提出する必要があります。そのため、各自治体の補助金制度申請の流れを事前に確認することが必要です。
太陽光発電の補助金制度を利用する場合、一般的に以下のような流れで申請します。
補助金制度申請の流れ
補助金制度の申請は、以下の流れで進めていくことが一般的です。
ハウスメーカーを選ぶ
↓
申請書類を提出
↓
交付決定通知書を受け取る
↓
工事着工
↓
実績報告書を提出
↓
補助金の入金
以下の記事では、太陽光発電の設置義務化やメリット、補助金について解説しています。
メリットや補助金について解説
まとめ
太陽光パネルを設置する場合は、周囲に日光を遮るものがなく、南向きに設置できる屋根が最適です。
ただし、太陽光発電を導入しただけでは電力を使うことはできません。また、屋内パワーコンディショナーを設置する場合、自立運転コンセントはパワーコンディショナーの側面についていますが、数が1つしかない場合が多く、家電など複数を同時に使用することが難しい課題があります。災害により停電が発生した場合には、特に大きな問題となります。
日東エルマテリアルが提供している「スマートエルライン™ライト」は、こうした課題の解決に役立つソリューションです。
スマートエルライン™ライトは、太陽光発電で蓄えた電力やエコカーからの電力をすぐに使用できる給電システムであり、導入することで停電時に太陽光発電経由で電気を使用できるようになります。最大1500Wまでであれば複数の家電を同時に使うことができ、屋内パワーコンディショナーの課題を解消することが可能です。
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